(11人いた)
いらっしゃいませ。ゲスト様 ログイン 新規登録
ウミガメのスープふたたび、あるいは三たび。」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
とあるレストランにて。

運ばれてきたウミガメのスープを一口飲むと、男は首をかしげ、シェフを呼んだ。
「これは何のスープだ?」
「はい、こちらウミガメのスープでございます」
男は驚いたように目を大きく見開いたが、やがて落胆の表情を浮かべた。

次の日。
運ばれてきたウミガメのスープを一口飲むと、男は首をかしげ、シェフを呼んだ。
「これは何のスープだ?」
「はい、こちらウミガメのスープでございます」
男はわずかに目を見開いたが、やがて不満げに唇を尖らせた。

また次の日。
運ばれてきたウミガメのスープを一口飲むと、男は首をかしげ、シェフを呼んだ。
「これは何のスープだ?」
「はい、こちらウミガメのスープでございます」
男は無表情でスープ皿に視線を落としていたが、やがて、スプーンを床に叩きつけて怒り出した。

何故?
[アルバート]

【ウミガメ】【時間制限:12時間】【闇スープ】20年09月13日 00:53

-

解説を見る
水平思考パズルの代表作を原案とした映画『ウミガメのスープ』撮影中。今は主人公の男がスープを飲み、その真相に気づいてしまうという、最も重要とも言える場面を撮っているところなのだが、主役の男の演技に監督からなかなかOKが出ない。

スープを飲み、シェフにメニューを質し、そして真実に気づいて、男は驚いたように大きく目を見開いたが、

「カット! なんだその大袈裟な演技は! 『は? 昨日ネットで買ったバッグ、今見たら半額になってるじゃん!』じゃねーんだよ! 人を! 喰った! 驚きと! 絶望と! 嫌悪感が! まるで伝わらん! 安っぽい芝居してんじゃねーよ! やり直し!」

男は落胆の表情を浮かべた。

……中略……

男はわずかに目を見開いたが、

「カット! 中途半端! 『ふーん、あの女優離婚するんだ、おしどり夫婦って話だったのになぁ』ってか? 嘆き! 恐怖! 茫然! そういうのが全っ然ない! 想像しろよもっと! やり直し!」

男は不満げに唇を尖らせた。

……中略……

男は無表情でスープ皿に視線を落としていたが、

「カット! やる気あんのかおい! なんだその薄っぺらい――」
「うるせー! 何回目だと思ってんだ!」

同じシーンを撮り続けること3日目。実に78度目のテイクもやり直しとなったとき、男はついに、スプーンを床に叩きつけて怒り出した。

「あーでもない、こーでもない! だったらお前がやって見せろよ、どんな演技なら満足するんだ!」
「それを考えるのがお前の仕事だろうが! それがわからないからお前は三流なんだよこの大根! いっぺん海に出て遭難してみろ! ちったぁ演技に深みが出るだろそうすれば!」
「あぁそうしてやるよ、でもってお前をかっ捌いてスープにしてやる!」
「上等だ! それでお前の芝居がマシになるならスープでもステーキでもなんでもなってやろうじゃねぇか!」
「言ったな? おい、誰か包丁持ってこい!」
「先に遭難だ、船用意しろ船!」


……紆余曲折を経て、件のシーンは103回目のテイクで遂にOK。ようやく完成した映画『ウミガメのスープ』は、主演俳優の凄みある演技が話題となり大ヒット。特にスープを飲んで真実に気づくシーンは、辞書にない新たな感情が表現されていたとして、各方面から絶賛を浴びたそうだ。
納得:3票
全体評価で良質部門
トリック部門
物語部門
納得部門
ほずみ[ますか?]>>コメントなし
とかげ>>「これは何のスープだ?」 「はい、こちらウミガメのスープでございます」次の日、また次の日と繰り返されるやりとりに、変化していく男の反応。感情の発露をともなう問題は、時に納得感が薄れがちだが、この状況では納得せざるを得ない。
ryo>>すばらしい納得感があります