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「誕生日、欲しいものがあったら先に言ってね。考えるの、大変なんだから。」
突然、彼女がそんなことを言った。
言い方が少し気になるが、3度目のプレゼントともなればさすがに選ぶ側も大変だろうし、
何より先に決めておけば余計なケンカなどしなくて済む。
「じゃあ、マフラーがいいかな。」
あの時、僕は確かにそう言ったはず。
しかし当日になって渡されたのは『手編みの手袋』……。
僕はそれから、彼女への態度を改めなければいけないと思った。
一体なぜ?
(画像元:無料画像サイトPixabayより)
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解説
恋人だから。
3年以上連れ添った彼女だから。
正直に言えば僕は随分と、この関係性に馴れきっていた。
出会った頃の恋愛一辺倒だった面影はもう無い。
無理に時間を作って会いたいと思うこともなくなったし、毎日電話をすることもない。駆け引きも、しない。少し距離を置きつつも、それでも密に接している、そんな生活。
今を倦怠期と呼ぶのだろう。でもこんなに長く一緒にいるのだから、僕たちを変だと笑う人はいない。
誰でも当たり前に訪れること。ただ、安定しているだけ。
僕にできることは彼女を信じること、詮索・干渉しないこと、そして何も言わないこと……。
それは、これからも2人仲良くやっていくために、一番大切なことだと思っていた。
「これはね、
最近スマホばっかり触ってる君が、
私と話してくれないからだよ。」
自分で編んだ手袋を渡して、彼女はそんなことを言った。
いろんな御託を並べながら、僕はすっかり2人の会話をなくしていたらしい。
一緒にいてもスマホを触り続けていた僕は、どう見えていたのだろう。彼女に寂しい思いをさせていた……それだけは確かだ。
今度の誕生日、欲しいものがあったら先に言ってね、なんて。
きっと前後の会話など、僕の耳に入っていなかっただけなのかもしれない。突然でもなんでもなく。
「……ごめん。」
大切な人との会話を大切にする、 これからも仲良くやっていくために。
そんな当たり前のことに気付いた誕生日だった。
「でも怒ってても、ちゃんと編んでくれるんだね。嬉しい^ ^」
「そりゃあ私たち……恋人ですから。」
(おしまい)
簡易解答:今の関係に馴れてしまった僕は、会話をなくして彼女に寂しい思いをさせていたようだ。プレゼントされた手袋は、もっと2人の時間を大切にして欲しいというメッセージであると気付いたから。(手編みのマフラーは通電せず、スマホを操作できないということです)
物語:1票