誰もがおっぱいを飲む。

比喩の類ではない。本当におっぱい―母乳を誰もが飲んだり、バターやチーズやヨーグルトに加工したり、お菓子作りの材料にしたりする。「おっぱいは完全栄養飲料です」「おいしい、なつかしい、みんなのおっぱい」そんな宣伝が踊る。専用の農場で乳母たちから搾乳され、市場に出回るのだ。また、搾乳体験に行けば、おっぱい―乳房の温かさ、柔らかさに触れ、母乳が愛情に満ちていることを実感することもできる。子供が生まれた家族が、母親の乳房に集い母乳を皆で飲むという光景も珍しくない。

そんな状況を、老人たちは苦々しく見つめている。一体なぜ？