「ウミガメのスープ2.0」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
海で遭難してしまった男とその妻や子ども達。救助を待つしかない状況だったが、船に残されていた食料はすぐに底をついた。
そんな空腹に苦しむある日、やっとの思いでウミガメを捕まえることができ、男はそのウミガメでスープをつくった。
お腹をすかせた妻や子ども達をさしおいて、男がそのウミガメのスープを全部自分で食べることにしたのは、なぜ?
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遭難した船は、偶然ウミガメの生息する海域に流されてきたらしい。何匹ものウミガメが泳ぐ姿を目にした男は、この奇跡に感謝した。
すでに空腹で体力も限界に近かった男だが、それでも生きるために諦めず、ついにはウミガメを一匹掴まえることができた。さばいで料理をするのにも一苦労だった。しばらく雨水しか入れていない胃袋のことを考え、ウミガメのスープをつくった。
さて、これを――。
男は船に残っていた食料はほとんど食べずに、家族に分け与えていた。それでも、妻や子ども達は日に日に衰弱し、今や体力を使ってしまわないように寄り添ってじっと横たわっているしかなかった。男がウミガメと格闘している間も、彼らは全く気づきもせずに眠っていた。
男は確かに空腹だったし、ウミガメの捕獲と料理で相当体力を消耗した。それでも、この目の前のスープを我慢して、家族に分け与えることができないわけではなかった。
妻の、子ども達の、喜ぶ顔が目に浮かぶ。苦しむ姿を見るのは耐えられなかった。いくら自分が苦しくても、もし死んでしまったとしても、愛する家族のためなら悔いはない。
しかし。
妻も子ども達も、男よりは食事をとっている。今日、このスープを飲まないことで、すぐに死ぬことはないはずだ。一方、男はもはやもう一度海に潜って、ウミガメを捕まえる力は残っていない。命を削ってこのウミガメのスープをつくったのだ。今日明日で死ぬことはないにしても、もう一度ウミガメのスープをつくる余力はない。
男は一瞬の迷いののち、決心してスープを飲み始めた。
久々の食料が、少しずつ男の弱った身体を温めていく。
今、このスープを分け与えることは簡単だ。
しかしそうすると、もうスープをつくることはできない。もともと体力の少ない妻や子ども達にとっては、ウミガメを捕まえて料理するのは困難だ。自分が腹を満たして回復すれば、また海に入ってウミガメを捕まえられる。幸い、何匹も生息しているようだから、しばらくは飢えをしのげるはずだ。家族が眠っている今のうちに、自分がすべていただこう。そして明日には、もっと大きなウミガメを捕まえて、家族の腹を満たしてやろう。それが自分の役目なのだ。
すまない、許せ、と心の中で詫びながら、男は一人、ウミガメのスープをすする。
要約解説
男自身が元気になってもっとたくさんのウミガメを捕まえて料理するため。妻や子ども達が元気になっても、ウミガメを捕まえて調理するのは難しいから。
納得:5票
納得部門
休み鶴>>
男の立場になってみての徹底的な思考が要求されます。その果てにある答えが美しい。