桃から生まれた男の子。しかし彼が桃太郎と呼ばれる日は来ませんでした。状況を補填してください。
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むか~しむかし、とても信心深い老夫婦がおったそうですじゃ。貧しい中でも笑顔を絶やさず、悔いのない人生を歩んできたそうな。
ただ一つ。一つだけ挙げるとすれば…彼らには子どもがおらんかった。
じゃから、彼らは祈った。わたくしらにも子宝を恵んでくださいと。残り少ない余生でも、孫どころか子どもの顔すら拝めぬというのは、悲しかったんじゃろうなぁ。
やがてそれは、思いもよらぬ方法で叶うこととなる。
ひょんなことからご近所さんからもらった桃が、何やらモゾモゾ動いておる。桃は神聖な果物である――日本国の大地をつくったイザナギノミコトも、桃を使って黄泉の軍隊を追い返したという伝説もある――から、これは神様が私達の願いを聞き入れてくださったに違いないと、慎重に桃を割ったそうな。
するとびっくり、中から元気な男の子!
…ただ、まぁ、普通の大きさの桃から生まれてきたから当たり前といえば当たり前なのじゃが、その男の子は一寸(約3cm)ばかりの身長しかあらなんだ。
それでも老夫婦は喜び、その子に一寸法師と名付けて、優しく、心を込めて育てたそうな。
――一寸法師が鬼を退治して大きくなるのは、また別のお話。
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物語部門
霜ばしら>>
【 ネタバレなので詳細は相談チャットに書きます。 】というところに着目した発想が良いな、面白いなと思いました。