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過疎化が進む長閑な村で悲しい事件が起こった。
春の陽気が感じられるようになってきた頃。
離小島家の5歳になったばかりの一人娘が行方不明となった。
その次の日。
離小島家の女中である田中が警察に出頭し、娘を殺して湖に沈めたと自供。
その自供を元に捜索した結果、田中が殺した女児の死体が発見された。
田中は殺人罪で逮捕となった。
田中が拘束されパトカーに連行される際、警察の制止を振り切って田中の目の前まで来た離小島はこう叫んだ。
「なぜあと一年!あと一年待たなかったんだ!」
一体なぜ?
※元ネタあり。元ネタわかっても参加していいよん
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当時私は母親一人を家に置いて逃げ出すようにこの村を出て、東京で貧しい暮らしをしている時に主人と出会い、娘を授かりました。
ある時主人が失踪し、幼い我が子を育てながら東京に住むことはできず、この村へ帰ってまいりました。
小さな畑で作物を耕し、自給自足の貧しい暮らし。
そのうち母親が病に倒れ、看病に子育て。忙しく苦しい毎日に私は限界を迎えてしまったのだと思います。
母親が他界し、葬式の最中に泣き喚く我が子をなだめることも叱ることもできませんでした。
そして私は…
私は…
供述によると田中鈴子は24年前、当時5歳の娘を首を絞めて殺害後、湖に遺棄した。
近所の者たちには里子に出したと説明していたらしい。
それ以降、彼女は悔恨の念に囚われながら日々暮らしていたそうだ。
娘をきちんとしたかたちで弔いたい、しかし己が罪が露見することも怖い。
自己弁護と自己否定を繰り返しながら年月を重ねていくうちに彼女は運命的な出会いを果たす。
離小島家の長男が娘を授かった。
離小島家の女中として働いていた田中鈴子に芽依と名付けられた娘はよく懐いた。
そして芽衣が5歳の誕生日を迎えた日に今回の事件が起こったのだった。
警察に出頭してきた田中鈴子は
「私が子供を殺して湖に沈めました」
そう自供した。
確かに彼女の証言に嘘はなかった。
彼女は24年前に我が子を殺し湖に遺棄している。
しかし離小島芽衣は殺していない。
自宅に監禁していただけ。
彼女の目的は我が子を見つけ埋葬することだった。
駐在しかいない小さなこの村で24年前の事件を自供しても湖の底をさらうような大規模な捜索は行われないだろう。
だから芽衣を監禁し、彼女を殺して湖に遺棄したと自供することで警察を動かした。
その結果子供の白骨が発見されたのだった。
彼女の目的は果たされた。
しかし一つ疑問が残る。
あと一年待てば殺人罪に関しては彼女は時効を迎えていたのだ。
そのことに気づいた離小島は田中が拘束されパトカーに連行される際、警察の制止を振り切って田中の目の前で叫んだ。
「なぜあと一年!あと一年待たなかったんだ!」
離小島はこの家に、芽衣に愛情を持って尽くしてくれた彼女に捕まってほしくなかった。
自分の娘が監禁されていたことさえも忘れて。
なぜ時効まで待たなかったのか、その理由は、田中鈴子の心の内は本人にしかわからない。
「すずちゃんのつくってくれたケーキ、とってもおいしかったよ」
「そう?気に入ってくれてよかった」
「・・・すずちゃん、なんか元気ない?」
「・・・」
「かなしいお顔してる」
「・・・うん、私はひどいことをしたから、その罰を受けてるの」
「ひどいこと?」
「・・・芽衣ちゃんと同い年の子をずっと暗くて冷たい場所に閉じ込めてる」
「なんで?なんでそんなことするの?」
「・・・」
「すずちゃんはそんなひどいことしないよ?そんなひどいことしちゃいやだよ?」
「そう…だね。こんなひどいこと、もうやめないとね」
「その子をたすけてあげて?」
「・・・わかった。芽衣ちゃん、手伝ってくれる?」
「もちろん!」
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