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様々な超能力者が存在する世界。
超能力を持つ仲間と共にスーパーヒーローとして活動しているグリーンは、どんなに酷い怪我でも跡すら残さず治してしまえるほどの強力なヒーリング能力を持っている。
……なのだが、ある大規模な交通事故の現場で救助された負傷者の内、傷だらけの少女にだけはヒーリング能力を使わなかったという。
グリーンには確かに少女を助ける意思があったのだとすると、いったい何故?
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ある日、高速道路で発生した大規模な多重事故。
その現場にいち早く駆け付けたヒーローチームは、それぞれの能力を駆使して事故に巻き込まれた人々を助けていった。
やがて事態が落ち着きグリーンが怪我人の治療を終えた頃、ヒーロー仲間の一人が泣きじゃくる幼い少女を抱えてグリーンの前に現れた。
「うそ、まだ取り残されてた子が居たの? 怪我はしてない?」
「ああ、大した怪我はしてないみたいだ。なんでかトランクの中に居たからな」
「え?」
「だから、なんでかあの車のトランクの中に閉じ込められてたんだよ」
「あれって確か若い夫婦が乗ってた車じゃない。どうしてそんな所にいたの?」
優しく声を掛けながら体に傷が無いか確認しようと少女の服を捲ったグリーンは思わず息を飲んだ。
服に隠れる部分に、古い物から真新しい物まで無数に存在する痣。
煙草の火を押し付けられたのであろう、生々しい火傷の痕。
それは紛れもない虐待の痕跡だった。
「ヒクッ……あのね……車の中で、気持ち悪くなって吐いちゃったの。そしたら……『汚い』って、パパと、ママに叩かれて……悪い子はそこに、入ってろって……」
消え入りそうな少女の言葉に、グリーンは居たたまれなさに顔を歪めた。
グリーンの能力があれば今すぐに少女の傷を跡形もなく癒せる事は確かだ。
だがそれは同時に、少女が受けている虐待の証拠を跡形もなく消してしまう事にもなる。
一刻も早く少女を両親から引き離し保護する為にも、今彼女に能力を使う訳にはいかないのだ。
「……大丈夫、大丈夫よ。あと少しだけ我慢してね。必ず助けてあげるから」
震える少女の体を強く抱きしめながら、グリーンは決意の眼差しで囁くのだった。
《簡易解説》
少女の両親による虐待の証拠である傷を消してしまう事になるから。
納得:4票
納得部門
ベルン>>
解説の状況をとてもよく表せていると感じました