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近所の河原で行われた花火大会。
その日最後の花火の火花が田中の足元に落ちた。
そのせいで田中はクラスメイトの名前を何度も呼ぶことになった。
一体なぜ?
決してつかまえることのできない花火のような光だとしたって
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クラスメイト達と遊びに来てた近所の河原の花火大会。
田中と三好さんは気がついたら皆とはぐれており、2人で花火を見ていた。
くっつきそうでなかなかくっかない2人にやきもきしたクラスメイト達が気を遣ってくれたのだった。
2人とも薄々そのことに気がついていたのだが、お互いそのことには触れず、静かに花火を眺めていた。
そして一際大きな破裂音の後に急に訪れた静寂。
「・・・終わっちゃったね」
さっきまで大輪の花を咲かせていた夜空を見上げて少し寂しそうに呟く三好さん。
「・・・俺、さ。手持ち花火持ってきたんだ。皆でやろうと思ってたんだけど・・・。良かったら一緒にやらない?」
「・・・うん!やろう!」
そうして手持ち花火に興じる2人。
2人きりというシチュエーションに羞恥が募り沈黙の多い2人。
河原には花火の爆ぜる音だけが響くのだが、田中はその沈黙でさえも愛おしく感じた。
(やっぱり俺は三好さんが好きなんだなあ)
あらためて田中はそう思ったのだった。
楽しい時間は足早に過ぎ。
手持ち花火は線香花火を残すのみとなっていた。
「ねえ? 勝負しない?」
「勝負?」
「線香花火。先に落とした方が負け」
「いいよ、やろうやろう」
「じゃあ同時に火をつけて」
「オッケー・・・ よし、スタート」
「罰ゲームは負けた人が何でも一つ言うことを聞くこと!」
「え? 急になに? あっ・・・」
彼女の急な罰ゲーム宣言に動揺してあっという間に自分の足元に火花を落としてしまった田中。
「よし!私の勝ち!」
「えー、俺、そのルール了承してないんだけど」
「男がぐちぐち言わないの。罰ゲームはね・・・」
「三好さん、あんまり無茶なこと言わないでよ」
「うーん・・・ じゃあ・・・ いづみ!」
「・・・はい?」
「いづみ。私の名前」
「・・・うん、知ってる」
「リピートアフターミー、い、づ、み!」
ようやく彼女の要求が飲み込めた田中。
「・・・い、いづみ・・・さん?」
「ドントニード"さん"!」
「(なぜに英語?)・・・・・・・・・い、いづみ」
田中が絞り出した"いづみ"にニヤニヤが止まらない三好さん。
「いいづみ、じゃないよー、い、づ、み!」
「いづみ」
「もう一回!」
「いづみ!」
「もっと大きな声で!」
「いづみ!!!」
「あはは!いいよいいよー!」
「いづみー!!!」
「うるせえ!何時だと思ってんだ!」
窓から身を乗り出した近所の親父に怒鳴られる2人。
「「ごめんなさーい!」」
そう大声で謝った後、声を抑えながら笑い合う2人。
「はー・・・。ねえ、いづみ」
「ふふっ、なあに?」
「好きです、付き合ってください」
物語:5票