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近年、「イッピキオオカミ」という新種のオオカミが発見された。
イッピキオオカミはその名前とは裏腹に、群れを作るオオカミである。
高い知能と発達した社会性が特徴的な種であり、群れのリーダーへの信頼の下、指示の通りに狩りを分担するといった習性が確認されている。
さて、このイッピキオオカミだが、比較的獲物が少なく狩りが難しい時期ほど、群れの中で狩りの苦手なオオカミが狩猟を任されることが多いのだという。
その最大の理由について、研究者たちはどのように結論づけているのだろう?
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『簡易解説』
イッピキオオカミは飢えが限界に達すると、リーダーの指示の下で仲間のオオカミを食べる共喰い行動をとる。
群れの中で誰を犠牲にするかを選ぶ際に、「狩りに何度も失敗している」という明確な理由を提示できるようにすることで、群れの中での疑心暗鬼をなくして調和を保つため。
イッピキオオカミは非常に高い社会性を持つ一方で、リーダーの指示の下、飢えを凌ぐために群れの仲間を殺害して食べることがあるという習性も特徴的である。
冬を迎えるなどして獲物がなかなか見つからなくなるとこの共喰い行動も視野に入ってくるのだが、ここで問題となるのが、群れの中で誰をどのような理由で犠牲者として選ぶかという点である。
彼らの群れはリーダーへの信頼を基盤として構成されたものであり、いくらリーダーと言えど身勝手な形で犠牲者を決定していては構成員からの信用は得られないばかりか、下手をすれば裏切りやクーデター行動に発展する恐れもある。
それを防ぐためには、群れ全体が納得できる明確な理由が必要である。
そうした中で考え出された「明確な理由」が、「何度も狩りに失敗して群れに迷惑をかけている」という事実である。
獲物が少ない時期に狩りが得意なオオカミに狩りを任せたところで、十分な食糧が手に入るとは限らない。むしろ負傷などされては群れの存続にも関わる事態である。
その点、もともと狩りを苦手としているオオカミを狩りに行かせた場合には、狩りが成功すれば何も言うことはなく、もし食糧が得られなかったとしても、その時はそのオオカミを食糧として選ぶ理由を得ることができると考えられる。
実際にこうした分担方法をとっている群れは、そうでない群れと比べてグループ内での喧嘩が少なく、群れ単位での生存確率が高いという研究もある。
狩りに失敗できないというモチベーションも生むことで、狩りの成功率を高める働きもあるのかもしれない。
ある研究者は論文をこんな言葉で締めくくる。
「彼らは常に仲間と助け合いながら生きている。しかし一度危機が訪れたならば、本当に信頼できるのは自分だけ。群れは作れども一匹狼でいるしかないのだ。」
※以上はあくまで研究者たちの考察の一つにすぎない。イッピキオオカミの興味深い群れ行動に関しては、さらなる調査・研究が待たれる。
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