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ある冬の日の朝のこと。
精一杯のお洒落をした渋谷が、前野との待ち合わせの公園のベンチで、前野が来るのを緊張しながら待っていた。
しかし、それから20分後。
顔を赤くした渋谷は、公園内を歩き回った後でわざと地面に向かって倒れ込んだ。
さて、公園に来た時点での渋谷は、前野に「好きです」と面と向かって告白をするつもりだったのだが、実際はそのようにはならなかったという。
この時、実際の渋谷が前野に伝えたのは、一体どのような言葉だったと考えられるだろうか?
「終結」から皆様は何を連想しますか?私は忘年会です。という訳で忘年会で出し損ねた問題です。
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解説
「大好きです」
長い解説
ある冬の日のこと。
雪が降り積もった人気のない公園の中で、渋谷は友人の前野が来るのを待っていた。
その日の渋谷は、いつも以上に気合を入れた格好をして、いつもよりも時間をかけて髪のセットなんかもしたりしていた。
それも全て、渋谷と前野の友人という関係に終止符を打つ為だった。
…というのも、渋谷は前野に恋をしていて、今日は前野に自分の気持ちを伝えようと決めていたのだ。
渋谷が公園にたどり着いたのは、待ち合わせの30分も前の時間だった。
渋谷は悴む手を手袋と缶コーヒーで温めて、柔らかく巻いていたマフラーを、ややキツく巻き直す。
そうして、冬ながらも柔らかい日差しが降り注ぐ中、白い雪が積もった大きな木の下のベンチで、今か今かと前野を待っていた。
…しかし、それが良くなかった。
木の枝の上に積もっていた雪が日差しで少しずつ緩んではずり落ちて来て、ついにその雪の塊は真下に居た渋谷に直撃した。
幸い量は多くなく、怪我こそしなかったものの…セットしていた髪は崩れ、頭から滴る水と寒さのせいで顔はぐちゃぐちゃ。お気に入りの服は雪とそれに混ざったものとで、どろどろに汚れてしまった。
待ち合わせの時間まであと10分。
帰って着替えてくることはもうできない。かと言って、こんな有様では面と向かって告白なんて…と、ふと下を俯いた渋谷はふと思った。
雪の上に告白を書くのはどうだろうか、と。
幸い、冬の時期のこの公園は、全くと言っていいほど人気がない。
他の人に踏まれて消されてしまうことは無いだろう。
そして自分は、前野から見えない位置で待っていよう、と。
最高の姿で告白をすることは出来なくなってしまった。
それでも渋谷は、どうしても今日気持ちを伝えたかったのだ。
そうと決めた渋谷は、足で雪を踏み固めて、公園の真ん中に文字を書いていく。
公園の入り口から「好きです」と見えるように。
しかし、そうして完成した大きな雪文字の「好きです」は、何故だかどこか味気なかった。
それに少し考え込んだ渋谷は、文字を崩さないように進捗に、「好」の上に回る。
そして、両手両足を広げた渋谷は、その姿勢で雪の上に倒れ込んだ。
冬の寒さと雪の冷たさのせいか、はたまた別の要因か、頬がじんじんと熱い。
味気のなかった「好きです」の一言に、渋谷の等身大の「大」が書き加えられた。
さて、そんな渋谷の恋の終着と、2人の行き着く結末は…
この場所に記すには、余白が小さすぎるようだ。
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