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「お疲れ、エースナンバー」

そう言うと、チームメイト且つライバルのウミオはカメオにハグをした。
ウミオがカメオの背中を2回叩くとすぐにハグを解こうとしたので、カメオはウミオを引き留めた。 何故?
[異邦人]

【ウミガメ】23年08月16日 14:56

ネタ作成SP:るょさん、「マクガフィン」さん。感謝!

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解説:

負けて堪るか。負けて堪るか。 最後の一瞬まで、彼らがその思いを途切れさせることは無かった。






カメオたちは、負けた。カメオの高校生最後の大会が終わった。
ロッカールームにはいくつもの嗚咽が轟いている。

エースとしてチームを勝利に導けなかった悔しさが、カメオの中で渦を巻いている。
チームメイトの皆と同様にカメオも泣き叫びたかった。しかし、カメオは泣かないでいる。
カメオのチームメイトでありライバルであるウミオが涙を見せず、自分をじっと見ていることに気付いていたからだ。

このチームではずっとカメオがエースナンバーを任されていたが、カメオはウミオに勝っていると思ったことが無い。
ウミオの方も、「それでもエースナンバーか」といつもカメオを挑発していた。
ウミオにだけは負けたくない。その思いがずっとカメオの中にはあった。

(コイツの前で泣いて堪るか)

歯を食いしばり目に力を入れ、ウミオを見返すカメオ。
そんなカメオにウミオが近寄ってきた。
カメオは立ち上がってウミオを待ち構える。
カメオの目の前まで来たウミオは、しばし沈黙を保った。

カメオは、ウミオが何を言うだろうか考えた。
チームが負けた責任を追及するだろうか。不甲斐ないエースを鼻で笑うだろうか。自分こそがエースナンバーに相応しかったと憤るだろうか。

身構えるカメオに、真っ直ぐな視線と共にウミオはこう言った。



「お疲れ、エースナンバー」



その言葉に、その眼差しに、カメオがどうにか持ち堪えていた涙腺が刺激された。
そして素っ気ないハグをされたかと思うと、温かく背中を2回――エースナンバーを2回ウミオに叩かれたことで、カメオの悔しい思いが一気に零れ出た。

負けて悔しいのはウミオも同じである。
カメオに勝るとも劣らぬ実力があるのにエースナンバーを貰えずにいた分、ウミオの方が常日頃悔しい思いをしてきている。
そんなウミオだからこそ、今カメオが誰よりも悔しい思いをしていることを理解できたのだろう。
それでもカメオをエースと呼ばずにエースナンバーと呼ぶのは、ウミオの最後のプライドか。

スッとウミオの体が離れるのを感じた瞬間、カメオはウミオの体を強く掴んで引き留めた。

「待て、ちょっとだけ待て」

「なんだよ、痛いな」

今ハグを解かれたら、カメオはウミオに泣き顔を晒すことになる。

(コイツの前で泣いて堪るか)

ハグをしていて顔が見えないでいる内に涙を止めようとして、カメオはさらに強く、強くウミオを抱き締めた。涙は余計に溢れてきた。
しばらくすると、ウミオも、力強くカメオを抱き締め出した。



負けて堪るか。負けて堪るか。

エースとライバルは互いの肩を濡らし合った。
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