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「カメオくんに片思い中」だと思い始めたのは、いつだったでしょうね。
うーん、多分クラスの友達にピヨミちゃんって子がいるんですけど、その子に好きな子を聞かれたときくらいです。
ピヨミちゃんは、まあ中学生の女の子典型の恋愛脳な女の子なんですけど、あの子は優等生のタカオくんが好きみたいですね。他には、ムードメーカーのウサオくん、頭脳明晰なガルオくん、チャラ男のチャラオくん…。それと、運動神経抜群のカメオくん。女子のみんなに人気な男の子を次々挙げて、さあカメコの好きな子はだれ!?って。
それで、なんとなく、本当になんとなく、カメオくんはかっこいいかもしれないなって思って、ピヨミちゃんに言いました。
ピヨミちゃんは他の女の子の口を割るのに熱心だったのでそれ以上の詮索はなかったんですけど、それ以来、不思議とカメオくんのことが気になり始めちゃって…。単純ですよね。
たまに同じ班になったら話すのに緊張したり。
ゲームの味方キャラに、カメオってつけてみたり。
姓名占いを見てみたり。
恋のおまじないを、読んでみたり。
そこで手に取ったのが、図書室にあった「絶対うまくいく!恋のおまじない大百科」だったのが、そういう運命というか必然というか。
中身の記述は、私を「恋」から覚めさせるには十分な、熱心で、嬉々として危機迫るような文言の連続だったんです。
「絶対うまくいく!恋のおまじない大百科」って自信満々に銘打ってあるのだから、当然かもしれません。この本はきっと、恋の炎に溺れそうで必死な人に、向けられた本なんです。
そして、それは「片思い」している人のほとんどなんだと思います。
私は、そのおまじないを見て、面倒だな、無意味だな、と冷めていきました。どうしてカメオくんと結ばれるために、こんなものにしがみつく必要があるんだろうって。
それで、なんとなく納得がいったような気がしました。
私が好きだったのは、カメオくんじゃなくて、私を渦巻く恋の物語だったんだ。
私には、恋と言えるほどの熱心さはなかったんだと思いました。ただ、恋愛という観念に無意識の憧れを持っていただけだったと感じました。
それからは、カメオくんと二人っきりでもなんとも思わないし、緊張もしなくなりました。
あの時のどきどきが、本物の恋だったのか、それとも恋の物語に憧れた私の一人芝居だったのかははっきりしませんが、少なくとも、あの大百科が原因で、私がカメオくんへの恋を諦めたことは事実です。
長々とごめんなさい。失礼いたしました。
要約:
「絶対うまくいく!恋のおまじない大百科」に書かれていたのは、複雑なおまじないと、恋を熱心果敢に応援する熱のこもった文章。
それを読むうちに、こんなおまじないをするのに面倒を感じ始めた(、そして大百科の熱心な文章に気圧された)カメコは、自分にはこれほどの熱心さがない、カメオへの思いも恋といえるような大層なものではなかったのだと自覚したため、思いが冷めていき、カメオのことを諦めた。
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