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幼い頃に「家の中のある場所」に書いてしまった落書き。
実家暮らしの悦子は、それを幼い娘に見つかりたくなかったので、
娘のお気に入りのアニメを、今週の分だけは後日DVDを借りてきて見せることにした。
さて、昔悦子が落書きをした「ある場所」とは一体どこだろうか?
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A.机の裏
簡易解説
悦子は、震度速報ごと録画してしまった今週のアニメを娘に見せたら、
幼い娘が地震が起きたと勘違いして机の下に潜り、落書きに気づくと思ったために、今週の分はDVDを借りて後日見せることにした。
長い解説
「地震が来たら机の下に潜るんだよ」
そう教えられたのは、遠い昔の話。
けれど机の下というのは、得てして魅力的なもので。
気づけばそこは秘密基地。クッションにお菓子にたくさんたくさん持ち込んで、ついに机の下、天板の裏側へと落書きしてしまった。
わたしのひみつきち
◇
時は流れ、娘が生まれたのはつい最近のこと。
娘も幼稚園に預けたし、今日は気合いを入れてみるか、と掃除をしていた時にふと見つけた昔の落書きに、私は苦笑した。落書きはだめよ、と教えている手前、幼い娘にそんな落書きを見せるわけにはいかない。
そんな、時。
揺れる地面。独特の浮遊感。どうやら地震らしい。
幸い大したことのない地震だが、一応、とテレビをつけてみれば、映っているのは娘の好きなアニメだった。決め台詞を放つキャラクターと、その上に映る日本列島。震度速報だ。
そして気づいた。
震度速報ごと、番組を録画してしまった、と。
もしこの録画を娘に見せたら、「録画」というものを理解していない娘は机の下に潜るだろう。「じしん!」と叫びながら机の下に駆け込んでいく娘の姿が目に浮かぶようだ。
当然机の下に潜ったら落書きには気づく。さすがにそれは避けたいから、仕方がない、今週の分はDVDを借りてくることにしよう。
「今日のアニメはまた今度、ね」
「えー、なんで?」
帰ってきた娘に申し訳なく思いつつ、適当にはぐらかす。
抗議するように振り上げられた娘の手から、ビーズがこぼれ落ちた。どうやら友達にもらったらしい。ころころと転がったそれは、机の下へ消えていく。後を追って消えた娘に、これは、と思う。
机の下から、不思議そうな声が聞こえた。
「わたしの……ひみつきち?」
あちゃ、と頭を抱えたけれど、こうなっては仕方がない。クッションを取ってくると悪戯っぽく笑って机の下へと差し出す。ぱっと顔を輝かせた娘の頭を、私は優しく撫でた。
そして今も、その落書きは机の下に残っている。
わたし のひみつきち
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たち
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