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物心つく前に実の親に捨てられたラテオは、海の男であるカメハメに拾われ大切に育てられた。
いつも愛おしげに頭を撫でてくれるカメハメのことをラテオは本当の家族のように慕っていたが……あるときカメハメは航海中に嵐に巻き込まれて帰らぬ人となってしまう。浜に流れ着いた溺死体の腕に、以前カメハメが自分で彫ったと教えてくれた海亀の刺青があったことが、その死体がカメハメで間違いないと言う決め手となった。
さて、カメハメの死から50年後……。
歳を重ねたラテオは、最近になって『あるもの』を見たことをきっかけに「もしもあのままカメハメが生きていたら、自分はいつかカメハメに殺されていたのかもしれない」と思うようになった。
『あるもの』とは一体何か?
カメハメハ大王の名前の切れ目は、本来ならカ•メハメハらしいですね。
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◼️答え◼️
ラテオの後頭部に刻まれた宝の地図の刺青
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◼️おまけ◼️
「おじいちゃん、あたまにおえかきしてる! いいなぁ、かっこいい!」
久々に娘夫婦の元に泊まりがけで遊びに行ったラテオが、孫のトーマスと二人で風呂に入っていたときのことだ。
背中を流してくれようとしたトーマスが、ラテオの背後に回った直後、急にラテオの頭を指さしながらそんなことを言い出したので、ラテオは戸惑った。
「お絵描きって何のことだい?」
「おじいちゃんのあたまのうしろのとこに、かいてあるよ!」
そう言われてもラテオの困惑は深まるばかりだ。
ここ数年、急激な抜け毛に悩まされていたラテオは、風呂に入るときと寝るとき以外は普段からからカツラを着用するようになっていた。
妻を亡くしてから久しく一人暮らしで、残り僅かしかない髪をわざわざ理髪店まで切りに行ってもらうのももったいないという思いから散髪も自分で適当に済ませてしまっていたラテオには、今日まで誰かに自分のハゲ頭を見てもらう機会などなかったのだ。
そもそもとしてラテオには、自分の後頭部に何かを描いた覚えなんてない。可愛い孫が言うのだから、何か絵のような跡が頭にあるのは事実なのだろうが、それなら誰かが勝手に仕込んだ物だということになる。しかもカメオ本人すら気が付かないうちに。
「なんかね、『ちず』みたいなかたちだよ。ちょっと待っててね………………ほら、これでみえる?」
そう言ってトーマスは、裸のまま風呂場からトコトコと駆けて行って、2枚の手鏡を持って来てくれた。それで合わせ鏡を作って、ラテオが自分の後頭部を覗いてみると、そこには確かに『どこかの島の地図と何かの目印らしきドクロマーク』の刺青が入れられていた。それを見たとき、ようやくラテオの頭にある仮説が閃く。
養父であったあの男……カメハメは『海賊』だった。
遠くへ航海に行くとき以外はいつもラテオを側に置いて本当に海外しく面倒を見てくれて、だからこそラテオは海賊でも良い人はいるんだと思って素直に感謝して生きて来たが……カメハメが物心つく前のラテオの頭に、こっそり宝の地図の刺青を彫っていたとなると話が違ってくる。
つまりカメハメは宝の地図の隠し場所として大切に扱ってくれただけで、親心などの、人間としてのラテオへの愛着は全く無かったのではないか。
例えば宝の地図を使いたくなったとき。
カメハメはラテオの首ごと地図を回収するつもりだったのかもしれない。そうじゃなかったとしても、髪を剃って宝の地図を確認した後、他の海賊が地図を利用できないようにするためにラテオの頭を潰すつもりだったのかもしれない。
カメハメが死んだ今となっては詳細は分からないが、いずれにしても彼の親切は純粋なものではなく、利用価値のなくなった後のラテオの命なんてどうでも良かったんじゃないだろうか。
カメハメのことを家族だと思っていたのは、ラテオだけだったのかもしれない。
「おじいちゃん? どうかしたの?」
「……ああ、ちょっと目に石鹸が沁みただけだよ」
「え! たいへん! ほら、タオルつかって!!」
「ありがとう。…………トーマスはいい子だね、大好きだよ」
「ぼくもおじいちゃんのことだいすきーっ!!」
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