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『前略、大切なあなたへ』」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。

「初めて会った日のことを思い出すなぁ…」

最愛の夫・壮太との思い出のアルバムを眺めながら、ひとり呟く瑞希。
薄暗い部屋の中で自らの死を悟った瑞希は、震える手で遺書を残すことに決めた。

さて、この遺書の右上にある単語は何か?
シチュエーションを踏まえて答えて欲しい。
[だだだだ3号機]

【ウミガメ】23年11月30日 22:30

扉と迷いましたが、ウミガメです。

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解説

今振り返ってみても、特に準備不足だったとは思わない。
危険性は充分承知していたし、学生のときに嫌というほど使ったルートでもあった。

         ・・・・・・・・・・・
…それでも、「山の天気は変わりやすい」ということを身を持って体感するのは初めてだった。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



───夫・壮太の突然の出張。
家事の全般を請け負っている瑞希にとって、これは予期せぬ余暇の到来に他ならない。
大学生のときの趣味であった登山に思い至ったのも、単にこの余暇を充実させたいと思ったが故の思考だった。

しかし常々、人の都合を大自然は関知しない。


瑞希が山を登りはじめてから十数時間。
突如降り始めた大雪は、あっという間に視界と道標を奪い去っていた。

命からがら無人の山小屋にたどり着いた瑞希は、震えながら救助を待つことにした。

「寒い…」

建物の中とはいえ、所詮は簡素な造りの小屋である。直接の冷風は凌げても、纏わりつくような冷気はどうしようもなかった。
日帰りで下山するつもりだったため、荷物の中には少量の水と栄養食しかない。

加えてこの気温。防寒具は所持しているが、夜を明かす想定はしていなかった。

夜明けまで持つかどうかも、怪しい。


一縷の望みは携帯で救助を呼ぶことだが、孤立した山の自然に悪天候、何度試しても電波は通じなかった。

既に日は落ちかけ、辺りは闇に包まれつつある。
刻一刻と激しさを増し、本格的に吹雪いてきた外の様子を認めた瑞希は、いよいよ生きる希望を失いつつあった。

───徐に、携帯の写真のアルバムを開く。

そこに写る最愛の夫との楽しい思い出を、ゆっくりと懐古する瑞希。


「初めて会った日のことを思い出すなぁ…」

…そうだった、壮太と出会ったのも雪の降る寒い日だったな。まだ付き合ってもいなかったけど、薄着の私を心配して上着を貸してくれたっけ。
あの時は恥ずかしくって、ちゃんとお礼も言えなかったんだよなぁ…。


都合のいい脳ミソだと思う。今際になって堰を切ったよつに心残りが溢れてくるのだから。


「メモ帳…メールの下書きの方がいいのかな。」

携帯のメール機能を開いた瑞希は、新規のメールリストに、下書きで遺書をしたため始めた。

寒さで手が震えて、上手く打ち込めない。


───ご飯はちゃんと食べてね。油ものばかりじゃダメだよ。寝るときはちゃんと暖かくすること。靴下はちゃんと表にしてから洗濯に出してね。読んだ本は床に積みっぱなしにしない。あと…



(あはは…遺書に小言書いてるよ私…)



(先立つ不幸を…みたいなの書いた方が良いかな…いや、堅いよな…)



(あ、クリスマスケーキ予約してた…一人だと多いよね…ごめんね…)




(そういえば壮太のスーツ…クリーニングに出してたな…)




(あー…今度一緒に観に行くはずだった映画のラスト…教えに来てくれるとうれしいかも………)







(一緒にいてくれて、ありがとう…本当に………)








(あと、あと……そうだ……あのときの………上着の……お礼…………)










(………………ちょっと、眠いなぁ………)













(………………………………)












A、圏外


トリック:2票物語:3票納得:3票良質:6票
全体評価で良質部門
雨森かえる>>コメントなし
アカミドリ>>コメントなし
トリック部門
ぺてー>>遺書の右上になんかあったかな?と考えてしまいました
「アルバム」がいい味を出しています
ほずみ[ますか?]>>シチュエーションの隠し方が自然だと思いました
物語部門
アカミドリ>>コメントなし
しろいしほじょ>>コメントなし
納得部門
わかめ>>コメントなし
アカミドリ>>コメントなし
しろいしほじょ>>コメントなし