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以下とある原稿用紙に書かれている内容。
ンションで火災が発生した。
れた西島早苗(28)は自身の息子(3)を抱えて、
階の自室のベランダから飛び降りた。
※写真はその時のもの
西島早苗はその際に死亡
息子は多少の火傷を負っ の無事に生還
彼女の判断が遅けれ ともに命を失っていただ
命がけで息子を守った彼女の行動は賞賛に値す
問い
上記の内容から西島翔太が放火した理由を推察せよ。
※やや難しめ。ヒントほしい人は質問欄にて所望してください
解説を見る
A.記事を書くために放火した犯人に復讐するため
ルポライターの田中は自分の限界を感じていた。
フリーのライターになって10年。
日本中が注目する記事を書くと息巻いていた当時の情熱はとうに消え去り、下世話なニュースばかりを取り上げて三流の雑誌に売り込み日銭を稼ぐ毎日。
「事件がなければ自分で作ればいい」
ある日、しがない現状に嫌気がさした田中はそう独りごちた。
「ライターのライター、ってね…」
ぶつぶつ呟きながら田中は都内のマンションのゴミ捨て場に火を放った。
乾燥した風が強く吹いていたことも手伝って火は瞬く間に燃え広がり、マンションを飲み込んでいく。
その様子を一眼レフで撮影する田中。
そしてその時はきた。
マンションの一室。5階の部屋。
幼子を抱えベランダでパニックに陥っている母親。
しばらく観察していると母親はだんだんと落ち着きを取り戻し、そして深呼吸をしたのち口を真一文字に結んでベランダに足をかける。
ベランダから勢いよく飛び降りる母親。
我が子を包むように両の手に抱きしめて。
その母親の表情を田中の望遠レンズが捉える。
強い決意の顔だった。
某月某日、都内のマンションで火災が発生した。
逃げ遅れた西島早苗(28)は自身の息子(3)を抱えて、
5階の自室のベランダから飛び降りた。
※写真はその時のもの
西島早苗はその際に死亡した。
息子は多少の火傷を負ったものの無事に生還することができた。
彼女の判断が遅ければ母子ともに命を失っていただだろう。
命がけで息子を守った彼女の行動は賞賛に値する。
文、写真:田中ヨシピコ
田中の書いた記事は一夜にして話題となった。
母親の命を賭した我が子を守る行動が躍動感を伴って一枚の写真に納められていたからだ。
しかし一部疑念の声も上がった。
「どうやってこの写真を撮ったのか」
田中はその問いに対し偶然その場に居合わせたと弁明している。
「実際はどうなんだ?」
西島早苗の夫である西島翔太はナイフを手に持ち、目の前で怯える田中をさらに問い詰める。
愛する妻を失った彼は田中の住むアパートに乗り込んだ。
そして世間で上がっている疑念を直接本人に聞いた。
ただし彼は冷静さを欠いており、それはほとんど恫喝であった。
違う、私はやっていない。
何度弁明しても聞き入れず、ナイフをちらつかせながら暴力を振るう彼に田中はついに屈した。
「こ、こんなことになるなんてお、思ってい、いなかったんだ、本当だ、私はマンションが焼ける様子を写真に撮れればそれで、よ、よかったんだ」
田中は弁明の仕方を間違えたことに気づかなかった。
彼はナイフの柄で田中の後頭部を殴り気絶させ、そしてその周りに灯油を撒く。
「あの世で早苗に謝るんだ」
そして彼は灯油で濡れそぼった畳の上にライターを放った。
翌日。
アパートから田中の焼死体が発見された。
一部焼けた原稿用紙とともに。
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