「鈴と時計と孤独な男」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
あるところに、周りの目から逃れるようにひっそりと暮らす、孤独な男がいた。
彼は毎日時計を見ては鈴を鳴らす。
その行為は何かを知らせたり、呼んだり、合図したりするものではない。
しかし男は毎日欠かさず鈴を鳴らす。
まるで機械仕掛けのからくり時計のように。
男が鈴を鳴らす目的は一体なんだろう?
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解答条件
・男はかつて、毎日鈴を鳴らしてから飼い犬に餌を与えていた。
・しかしその犬が死んでしまった。
・犬との思い出に浸るために、今も鈴を鳴らし続けている。
詳細解説
「パブロフの犬」という有名な実験がある。
犬にメトロノーム(諸説あり)を聞かせてから餌を与えることを繰り返すと、
メトロノームの音を聞かせるだけで犬の唾液の分泌が増えるようになる、という"条件付け"の実験である。
男は好奇心からこれを真似しようと考えた。
独り身の男は犬を飼っていたので、家にあった鈴を使い、この犬に試すことにした。
餌の時刻は決まっているため、男は毎日その時刻になると鈴を鳴らし、犬に餌を与えた。
唾液が増えているかは男にはわからなかったが、鈴を鳴らすと犬は尻尾をふり全身で喜び、男に癒しをもたらした。
これはある種のコミュニケーションとしても成立していたといえる。
そんな日々を長く続けていたが、あるとき犬は死んでしまい、男は本当の孤独を知った。
男にとって唯一の家族だった犬を失った悲しみは深く、その事実を受け入れることは到底困難だった。
手元に残ったのは鈴。この鈴を鳴らせば、今にも犬と再会できるような気さえした。
男はそれからも、以前と変わらず毎日同じ時刻に鈴を鳴らし、犬のことを思い出しているという。
物語:1票