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ユキの祖父が亡くなってから、もう2年になる。
幼い頃、週末になるといつも「おじいちゃんと遊びたい」と言うほど祖父が大好きだったユキ。
ある日、帰宅したユキは、家で毎日手を合わせていた祖父の遺影がなくなっていることに気づき、心の底から嬉しくなった。
一体なぜ?
離脱前出題もあとわずか…こんなスープはいかがでしょう?
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遠く離れた地域に住んでいたユキと祖父母。
毎年、年に2度だけ飛行機で訪れる大好きな祖父母の家を、ユキは心待ちにしていた。
しかし、不幸は突然に訪れる。ユキが中学一年生の時、祖父は突然の発作でそのまま帰らぬ人となってしまった。
悲しみに暮れるユキだったが、それ以上に落ち込んでいたのは祖母だった。
長いこと祖父と二人暮らしをしていた祖母は、ふさぎ込むようになり、とても独りで生活できる状態ではなかった。
思い出してつらくなってしまうからと、祖父の遺影すら見ようとはしなかった。
見かねたユキの両親は、祖母に一緒に暮らそうと提案する。
祖父の遺影は普段祖母が目にしない場所に飾られ、ユキは毎日のように手を合わせた。
帰宅すると祖母がいるという状況になかなか慣れなかったユキも、次第に気にならなくなってきた。
しかし、祖父が亡くなって1年を過ぎても、祖母の精神状態はいっこうに改善しなかった。
形ばかりの挨拶の他は、会話すらしない生活が続き、ユキは心配を募らせていた。
そんな折、転機が訪れる。
ある昼下がり、何を見るでもなくぼんやりとテレビを眺めていたユキは、少し離れた椅子に座る祖母が涙を流していることに気づく。
「どうしたの?おばあちゃん?」
ユキが問うと、祖母はテレビを指差して言った。
「私とおじいちゃんもね、ここで出逢ったのよ。」
見ると、ちょうど祖父母の家にほど近い公園を、有名な司会者が訪れているところだった。
『今は葉の落ちた茶色い枝をのぞかせるこの桜の木も、春になると息をのむほど美しく色づくそうです。』
同意するように大きく頷いた祖母は、流れる涙を拭おうともしなかった。
「あぁ、あなた、私は今でもずっと、愛していますよ…」
その日から、祖母はみるみるうちに元気を取り戻していった。
「私はやっぱりあの町が好きだから。あまりユキちゃんたちにも迷惑はかけられないし、あの公園にも行けるように、思い出の詰まった家で一人、暮らすことにするよ。」
不意にその日はやってきた。
ユキが帰宅すると、すでに祖母の姿はなかった。母に聞くと、父の付き添いで実家に向かったという。
ふと気になって、祖母の遺影の置いてあった場所を見ると、遺影は無くなっていた。
『おじいちゃんの形見だからね。この写真と二人、死ぬまで一緒にいることにするよ。私ならもう大丈夫、心配かけたね。』
そう伝言を残して去っていった祖母の気丈な笑顔を思い出して、深く安堵するユキの頰に、涙がつたった。
“簡易解説”
祖父と二人で暮らしていた祖母は、祖父が亡くなったショックで心を病んでしまう。
ユキたち家族と一緒に生活する中で元気を取り戻した祖母は、一人自分の家で暮らせるほどにまで回復する。
祖母が家に飾られていた祖父の遺影を持って帰宅したことを知ったユキは、祖母がつらい思いを乗り越えて生きていこうとしていることを理解し、心の底から嬉しく思った。
物語:4票