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晴れ男の後悔」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
晴れ男であるカメオは近くの公園に遊びに来ていた。雨が降る予報だったのだが、晴れ男であるカメオのおかげで今日午前中一杯雨が降ることはなかった。カメオは自らの幸運に感謝したのだが、午後になっても晴れていたことを後悔した。一体なぜだろう?
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【ウミガメ】19年06月30日 23:18

天気の子記念。トリックうんぬんより物語をお楽しみ下さい。

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A、遠くに行ってしまう恋人と最後に最高の時を過ごせて良かったと思っていたがお見送りの時に号泣してしまったので、雨が降ったら涙をごまかせるのにと思ったから。

カメオにはカメコという付き合ってもう3年になる医大生の彼女が居た。そんな彼女にカメオはいつプロポーズしようかと悩んでいた。そんなある時である。カメコから突然の呼び出しがあった。喫茶店で待ち合わせた二人。席に座り好みのコーヒーを注文する。
「私貴方のことが好き」
突然の告白であった。やはり両思いであったことに嬉しくなったカメオ。カメオは「僕もカメコのことが・・」と言いかけた。だがその後に続いた言葉はカメオを苦しめた。「でも私、アメリカに留学しようか・・正直凄く迷ってる」カメオの顔は晴れから一瞬にして曇り空に変わった。
「先生にこのチャンス逃したらもう多分先は無いだろうって言われて・・・私どうしよう・・・」顔を伏せてしまったカメコ。重く過ぎていく時間。カメオは次に発する言葉に思い悩んでいた。しかし、しばらくしてふとカメオの脳裏にある事が思い浮かんだ。カメコは幼い頃に母親を亡くしていて、父親一つで育ったと聞いたことがあった。もしかしたら・・・その母親がが亡くなった原因は・・・
「カメコには救いたい人が居るんだね?」
「・・・うん」
「だったら・・・僕はカメコの事を応援してるよ」
「えっ・・・でも」
「僕にこうやって相談してくれたんだから、本当に思い悩んでいたんだろう?今まで気づいてあげられなくてごめんね」
「僕はカメコは医者を目指すべきだと思ってる。それで多くの人の命を救ってあげて」
「・・・うん。ごめんね・・・カメオ。ありがとう」
「頑張って。遠くから応援してるよ」

その日、カメオにとってカメコはかけがえの無い親友になった。

約束の日。カメオは夕方の出立時間までにはまだ時間があるとカメコを誘って近くの公園へ来ていた。
天気は晴れ。晴れ男の本領発揮というやつだ。
「見せたい景色がある」
そういってカメコを連れ出したカメオ。そこは公園の高台であった。その高台からはカメオ達が暮らす街が一望出来た。
「僕のとっておきの場所なんだ」
自慢げに話すカメオ。
「こんなところがあったんだね」
笑顔で遠くを見つめるカメコ。
本当はここでプロポーズしたかった。そんな思いを胸にしまいこみカメオはこの場を後にした。午前中は公園のベンチに座り、二人で懐かしい話をしたり、近所の名物を食べたりして楽しんだ。そして約束の時間。空港の駐車場までやってきた二人。
「いよいよか」
「うん」
「頑張ってな。辛くなったら絶対言ってくれよ。相談乗るからさ」
「・・・うん。頑張る」
「じゃあな!向こうでも元気でな!」
「カメオ君も元気でね!」
「手紙絶対出すからな!」
「私も絶対返すよ!」
最高の笑顔で見送ってやろう。そう決心していたカメオはあふれそうな思いを精一杯抑え、笑顔でカメコを見送った。そしてカメコは踵を返し、後ろを向いた。カメコの背中が見える。
「もう良いかな・・・」
カメオは力を入れていた口を緩め、顔を少し伏せた。カメコをずっと支えるって約束したのに。好きで好きでたまらなかったカメコが遠くに行ってしまうことを考えたら。
堰を切ったように涙があふれてきた。
「う」
「くうぅ・・・カメコォ・・・」
しばらく目をこすっていたが、ふと周りの目が気になったカメオは顔を起こした。すると遠くでカメコが見ていた。もう行ったと思っていたのに。
「ごめん・・・カメコ。笑顔で送ろうと思ったけど・・・無理みたいだ」
見ればカメコも涙を流していた。

もし大雨でも降っていたら。この二人の涙も隠してくれるのに。カメオは憎らしいほど晴れやかな空を恨めしく見上げた。

それから数年後。一度あんなことを願ったためかあれからすっかり雨男になってしまったカメオ。窓の外からしとしとと振り続ける雨を見ると、彼女のことがふと頭に浮かぶのだという。彼女は向こうの大学でも優秀で、成績は上位。順調に医者への道を歩んでいるらしい。
「彼女の町では晴れているといいな」
せめて彼女の未来は明るくあってほしい。カメオはお天道様にそう強く願った。
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