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アフター5の暗殺者〜君は命の価値を知っているか?〜」のGoodトリック・物語・納得で良かったら1票分。全体評価で特に良かったら3票分Goodができます。
ボナオは大企業『電磁ボーナス社』で働くサラリーマンである。

業績は高く、社内からの信頼も厚い。まさしく理想の社会人であった。

そんな彼はある日、自分の給料に関して質問されたのでとっさにをついた。


一体なぜか??YESかNOで答えられる質問で真実を解き明かしなさい。

(元ネタあり。初見で分かった方はROMでお願いします。)
[弥七]

【ウミガメ】19年09月23日 11:29

Special Thanks!!! 電磁ボーナスさん(タイトルもろもろお借りしました^ ^)

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解説
簡易解答:毎日仕事で忙しいボナオと遊びたかった娘が、時給を聞いてお父さんをお小遣いで買おうとした。娘に寂しい思いをさせていることに気づいたボナオは給料を実際よりずっと低く申告し、だからたくさん遊べるね、と言ったのである。

ーーーーーーーーーー


時間は…夜の1時頃だったろうか?

俺が自宅に帰る時間は決まって深夜であったが、はっきりと覚えているわけではない。

静まり返ったマンションの8階。下降するエレベーターのモーター音をやけに大きく感じながら、玄関の扉にスマートフォンをかざした。

いつものように、家族を起こさないよう電気をつけず手探りで冷蔵庫を漁った。妻の作った夕飯を机に並べながらふと、部屋の中がいつもより少しだけ明るいことに気付いた。

寝室のドアから、照明の光が漏れていた。消し忘れだろうか??

するとその隙間からひょっこりと、娘の顔が出てきた。

「おかえり、パパ。」
「どうした?こんな遅くに。眠れないのか?」

トコトコと娘が俺の方まで歩きてきた。妻が買ったのだろうか?かわいいパジャマだ。

「パパにね、お願いがあるの。」

こんな時間にお願いとはなんだろう??全く想像できなかった。

「どうした?お小遣いでも欲しくなったか?^ ^」
「うん…。」

冗談めかして言ってみたつもりが、予想外の答えが返ってきたので少しびっくりした。娘も5歳になるし、欲しいものもあるんだなぁと人ごとのように感心してしまった。

とはいえ言った手前あげないわけにはいかないだろう。5歳だしなぁ…少し考えて、俺は財布の中に入っていた300円を娘に与えた。娘はありがとう、と言って両手で受け取った。

「ねえ、」

娘はもらったそれらを握りしめながら言った。

「…パパは、1じかんでどれくらいのお金がもらえるの?

時給のことかい?と聞くと、わからないけど…と返ってきた。

「うーん…1ヶ月働いて、給料はだいたいこのくらいだから…ええと」

実際のところ、俺の給料は同年代のサラリーマンに比べてずっといい。営業成績は高い方だし、社内からの信頼も大きいと自負している。

「…そうだな、だいたい3000円くらいかな。」
「それって、これよりおおい?」

彼女は手に持っていたお金をまた俺の前に広げて見せた。
そっかそっか、まだわからないよな^ ^

「もっともっと多いぞー。だから心配しなくていいよ?
それもらっても、お父さん怒らないから。」
「そっか…」

かわいいなぁ。娘とのやりとりにとても癒された。そういえば娘と会話したのも久しぶりだったような気がする。こんな時間に起きていてくれたこと、感謝しないとな。明日からまた頑張れそうだ。さて、これから寝かせて夕飯をば……

「そっか、じゃあ、全然足りないね。」
「え?」

突然の言葉に面食らった。俺の給料のことか?それともお小遣いのことか?娘の欲しいものとは、一体なんなんだ?理解できないまま反射的に言葉が口をついて出た。

「えっ、それってどういう…」
「はいこれ」

娘は俺に、握りしめた両手をずいと押し付けた。手を開くと、じゃらという音とともに、硬貨が3枚現れた。

…300円だ。

「お願いします










このお金で、パパと遊ぶ時間を買えるだけください。」

目の前で、娘は泣いていた。

家族を守るために、娘の将来の幸せのために。

自分を犠牲にして、昼夜問わず一生懸命働いてきた。

しかし俺は、いままでもっと大きなものを犠牲にし続けてきたのかもしれない。そう思った。

ひと呼吸おいて、俺は娘に言った。

「ごめん、お父さんね、いまついたわ。」



ーーーーーーーーーー



〜『電磁ボーナス』社内にて〜

「あり?ボナオ先輩、珍しいっスね。定時に帰るなんて。」
「ああ、そうだな」

「むむっ、その声、もしかして女ですか!?僕の耳はごまかせませんよ!!家庭があるのに、いけないんだぁ〜〜<」
「???まあ、そういえなくもないな」

「否定しないんスか…どんな女なんです??」
「最高の女よ。そんでもって俺にゾッコン。(ニヤニヤ)」

「へえ〜〜(ドン引き)」(こいつ、悩殺されてヤンの...)
「じゃ、そういうことで、後よろしく。
……あ、そうそう。俺これから毎日定時で帰ることにするから。」

「えっ!?どういうことですか??先輩がいないと仕事がまわりませんって〜〜」
「しょうがないだろ、俺の残りの人生全部買うって言われちゃったら。」

「はあ!!?女に?人生全部売ったって!!?ってかいくらもらったんですか、先輩!!!」
「いくらって、そりゃあ……









俺の名前はボナオ。

大手株式会社『電磁ボーナス』で働くサラリーマンだ。

自分で言うのもなんだが、業績は高く、社内の信頼も厚い。請け負った仕事は必ずこなす。

しかし、大切な人を目の前にしたら。

そんな俺の価値など、たとえ一生を捧げたって…
















…たった300円あればいい。

(おしまい)(この物語は全てフィクションです。)

元ネタ:「An Hour of Your Time」
http://mylifeyourlife.net/2013/03/an-hour-of-your-time/










余談ですが…





『忙』という字は「心(りっしんべん)を亡くす」と書きます。

確かに忙しさで我を忘れると、心がささくれ立ってしまうものです。

学校で、部活で、会社で、家庭で。

そして私たちは忙しさに追われ、他人に優しさ(心)を与えるチャンスを失ってしまいます。

その間にも一刻一刻と過ぎていく時間。

もしその時間をお金で買い戻すことができたら、どんなに素晴らしいでしょう。

あなたなら、『大切な人と過ごす時間』を一体いくらで買いますか?


逆にその時間を取り戻したいと言われたら…




…あなたは一体いくらで売りますか??

(弥七)
物語:6票良質:3票
全体評価で良質部門
豚肉の味噌汁>>コメントなし
トリック部門
物語部門
ぺてー>>【ネタバレあり】
大切な人との時間はお金では買えないと思っていました
特別な300円があれば買うことができます
ほずみ[ますか?]>>コメントなし
メラン・エブリド>>コメントなし
電磁ボーナス[令和]>>コメントなし
kopi>>なんかもう弥七さんってだけで卑怯(誉め言葉)物語素敵すぎますもん・・・
おだんご>>コメントなし
納得部門