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その動物園が入園料の安さ、動物の豊富さ、清潔さで人気だったため男は泣きながらウサギを殺した。
状況を説明してください。
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それは電脳化の進んだ時代。
動物園など映像だけで事足りる。
どんな珍しい動物も、素晴らしい芸も、特殊設備による立体映像で楽しめる。
必要なのは設備と電気代のみ。実物を飼うよりもはるかに安い。
…もはや動物園はよりリアルな映像を見るために訪れる場所と化していた。
動物のいない動物園。
それは清潔で、病気も死もなく、決まりきった内容を楽しめる、安全の保証された場所。
そんななか、その動物園の園長は、子供たちに命がどういったものかを伝えようとした。
大型のものは難しくとも、小型のウサギやハムスターなどとのふれあいコーナーをつくり、命の大切さ、素晴らしさを伝えようとしていたのだ。
危険、不潔、臭いが酷いと多くの苦情が届いても。
けれどついにその日が来てしまった。
乱雑な扱いを受けたウサギが、子供に噛みついてしまったのだ。
そう、今の子供たちはウサギが耳をつかまれれば怒る、ということさえ分からない。
このことは園長の考えが正しいことの証明であったが、反対派はこれを見逃さず、危険性を誇張し、とうとう動物園をたたむか動物を殺すかの選択を迫られた。
コーナー以外は大人気の動物園。多くの従業員をかかえている園長は、泣きながらウサギを殺した。
「汚いからと雑菌を殺し、虫を殺し、動物を殺し、
…最後には人間までも殺すのだろう」
『安全で綺麗な世界のために。』
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