問題行動の絶えなかった息子コウヘイが晴れて高校を卒業し、この春から社会人となる。
今後は寮生活となるため、コウヘイは荷物をまとめてこの家を出て行った。
コウヘイの部屋のドアを開けると、ベッド脇の壁に穴があいている。
父親のマサシはその穴を見て、不可能だと知りながら「唐揚げを腹いっぱい食べたい」と思った。
いったいどういうことか?
今後は寮生活となるため、コウヘイは荷物をまとめてこの家を出て行った。
コウヘイの部屋のドアを開けると、ベッド脇の壁に穴があいている。
父親のマサシはその穴を見て、不可能だと知りながら「唐揚げを腹いっぱい食べたい」と思った。
いったいどういうことか?

No.9[ほずみ]03月03日 22:0603月03日 22:08

マサシはコウヘイが独り立ちしたことで、自分の亡くなった母親のことを思い出し、母親が作った唐揚げを懐かしんでいますか?

+1

YES 正解です!詳細は解説にて… [正解]
解答
コウヘイの部屋はかつてのマサシの部屋で、壁の穴もマサシが学生時代にあけたものだった。
荒れていたマサシに、母親は何も詮索することなくマサシの大好物の唐揚げをたくさん作り、お腹を満たしてくれた。
そんな母はもうすでにこの世を去っている。
壁の穴を見て当時の記憶が蘇ったマサシは、叶うことはないと知りながら、また母の作った唐揚げを食べたいと思った。
解説
暴言暴力、警察沙汰……まぁ色々あった。
決して簡単な子育てではなかった。もちろん、それはどこの家庭にだって言えることだろう。
紆余曲折ありながらも無事に高校を卒業し、この春から社会人として働き出す息子のコウヘイ。
これからは寮生活となるため、たった今荷物を運び出し、この家を出て行った。
別れ際なんて実にあっさりしたものだ。じゃ、の一言で目も合わそうとしない。まぁ、男なんてそんなものか。
がらんとした息子の部屋。扉を開けて中を見渡すと、6畳ぽっちの空間がやけに広く見えるものだ。
ベッド脇の壁には穴があいていた。拳で思いきり殴ってへこんだいびつな穴。さぞかし荒れていたのだろう、……学生時代の俺は。
そう、この穴はコウヘイではなく、過去の俺があけた穴だ。つい先刻までコウヘイの部屋だったこの場所は、元々は俺の部屋だった。
誰にだって無性にイライラする時期というものがあるもんなんじゃないだろうかと、俺は思っている。いや、もしかしたら無い人も居るのかもしれない。
けれど、問題行動を起こしてばかりのコウヘイは、まるで過去の俺を目の前で再生させられているみたいだった。
暴言、暴力、警察沙汰。母が隠れて泣いていたのも知っている。それすらも当時はイライラして仕方がなかった。
そしてある日、この壁を思いきり殴ったのだ。壁って案外脆いんだなと驚いたのを覚えている。穴があき、俺の拳には血が滲んだ。
あまりに大きな音に驚いた母が慌てて様子を見に来た。そろりとドアを開けて中を覗き込む母に、なんでもねーよ、と一言返した。
その日の夕飯は、俺の大好物の唐揚げだった。母は何も言わなかった。ただ、俺の大好物の唐揚げをこれでもかというくらい山盛りに揚げていた。
俺はそれを腹いっぱいになるまで食べた。何だか泣きたくなった。きっと唐揚げが旨すぎるせいだと思うことにした。気がつくと目から涙が溢れていた。乱暴に拭って、唐揚げを食べ続けた。やはり母は何も言わなかった。ただ伏し目がちに柔らかな表情をしているだけだった。
そんな母は、60代でこの世を去った。早すぎる別れだった。
社会人になってからも母の作る唐揚げは何度も食べたし旨かったが、あの日、壁に穴をあけた日の山盛りの唐揚げは、この世のどんなご馳走よりも旨かった。
コウヘイが巣立った後の空っぽの部屋。
俺は母のようにはなれなかったが、父親として、何か一つでも息子に渡してやることができただろうか。
部屋の中に入り、そっと壁の穴に触れる。
刹那、猛烈に母の作った唐揚げが食べたくなった。
もう一生食べることのできない母の味。
あの日の無言の愛情を深く深く噛み締めるように、俺はしばらくその場に立ち尽くしていた。
コウヘイの部屋はかつてのマサシの部屋で、壁の穴もマサシが学生時代にあけたものだった。
荒れていたマサシに、母親は何も詮索することなくマサシの大好物の唐揚げをたくさん作り、お腹を満たしてくれた。
そんな母はもうすでにこの世を去っている。
壁の穴を見て当時の記憶が蘇ったマサシは、叶うことはないと知りながら、また母の作った唐揚げを食べたいと思った。
解説
暴言暴力、警察沙汰……まぁ色々あった。
決して簡単な子育てではなかった。もちろん、それはどこの家庭にだって言えることだろう。
紆余曲折ありながらも無事に高校を卒業し、この春から社会人として働き出す息子のコウヘイ。
これからは寮生活となるため、たった今荷物を運び出し、この家を出て行った。
別れ際なんて実にあっさりしたものだ。じゃ、の一言で目も合わそうとしない。まぁ、男なんてそんなものか。
がらんとした息子の部屋。扉を開けて中を見渡すと、6畳ぽっちの空間がやけに広く見えるものだ。
ベッド脇の壁には穴があいていた。拳で思いきり殴ってへこんだいびつな穴。さぞかし荒れていたのだろう、……学生時代の俺は。
そう、この穴はコウヘイではなく、過去の俺があけた穴だ。つい先刻までコウヘイの部屋だったこの場所は、元々は俺の部屋だった。
誰にだって無性にイライラする時期というものがあるもんなんじゃないだろうかと、俺は思っている。いや、もしかしたら無い人も居るのかもしれない。
けれど、問題行動を起こしてばかりのコウヘイは、まるで過去の俺を目の前で再生させられているみたいだった。
暴言、暴力、警察沙汰。母が隠れて泣いていたのも知っている。それすらも当時はイライラして仕方がなかった。
そしてある日、この壁を思いきり殴ったのだ。壁って案外脆いんだなと驚いたのを覚えている。穴があき、俺の拳には血が滲んだ。
あまりに大きな音に驚いた母が慌てて様子を見に来た。そろりとドアを開けて中を覗き込む母に、なんでもねーよ、と一言返した。
その日の夕飯は、俺の大好物の唐揚げだった。母は何も言わなかった。ただ、俺の大好物の唐揚げをこれでもかというくらい山盛りに揚げていた。
俺はそれを腹いっぱいになるまで食べた。何だか泣きたくなった。きっと唐揚げが旨すぎるせいだと思うことにした。気がつくと目から涙が溢れていた。乱暴に拭って、唐揚げを食べ続けた。やはり母は何も言わなかった。ただ伏し目がちに柔らかな表情をしているだけだった。
そんな母は、60代でこの世を去った。早すぎる別れだった。
社会人になってからも母の作る唐揚げは何度も食べたし旨かったが、あの日、壁に穴をあけた日の山盛りの唐揚げは、この世のどんなご馳走よりも旨かった。
コウヘイが巣立った後の空っぽの部屋。
俺は母のようにはなれなかったが、父親として、何か一つでも息子に渡してやることができただろうか。
部屋の中に入り、そっと壁の穴に触れる。
刹那、猛烈に母の作った唐揚げが食べたくなった。
もう一生食べることのできない母の味。
あの日の無言の愛情を深く深く噛み締めるように、俺はしばらくその場に立ち尽くしていた。
26年03月03日 21:45
[壱]
参加者一覧 2人
全員


ブックマーク(ブクマ)って?
自分が正解した問題・出題者への賛辞・シリーズ一覧・良い進行力など、基準は人それぞれです。
自分専用のブックマークとしてお使い下さい。
Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!
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自分専用のブックマークとしてお使い下さい。
Goodって?
「トリック」「物語」「納得感」そして「良質」の4要素において「好き」を伝えることができます。
これらの要素において、各々が「良い」と判断した場合にGoodしていきましょう。
ただし進行力は評価に含まれないものとします。
ブクマ・Goodは出題者にとってのモチベーションアップに繋がります!「良い」と思った自分の気持ちは積極的に伝えていこう!















