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兄を亡くしたカメコは願った。
この村の平穏を。この村の平和を。
この7年の間、ずっと願っていた。
村の人々は皆、カメコのお陰で平和だと感謝していた
しかし、一人の少女が殺されそうになった時、カメコは服を脱いで
平和を祈るのをやめてしまった。
一体どうしてだろうか?
[編集済]
この村の平穏を。この村の平和を。
この7年の間、ずっと願っていた。
村の人々は皆、カメコのお陰で平和だと感謝していた
しかし、一人の少女が殺されそうになった時、カメコは服を脱いで
平和を祈るのをやめてしまった。
一体どうしてだろうか?
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少し昔のはなしである。
この村には、ある因習があった。
それは『数え年で7年に1度、7歳以下の穢れなき少女を神の生贄に捧げよ』というものだった。
具体的には、7年に一度、7歳以下の少女を神が住むと信じられている崖の下に落とすのだ。
死体すら上がらない。村の大人たちは皆、神様のもとへ言ったというのみだった。
そしてその生贄を怠ったり、対象でないものを生贄に捧げた場合、
神の怒りに触れ、村はひどい大災害に見舞われるという。
さて、ある生贄の年。
今回は、カメコという丁度7つの少女が選ばれた。
彼女にとって不幸なのは、丁度その前の年に両親が病で死んでしまったことだろう。
後ろ楯がなくなってしまった、7つの少女。彼女を生贄とするのに、反対する者などいなかった。
いや、一人いた。
カメコの双子の兄である、カメオだ。
カメコと同じ7つではあるが、非常にしっかりとした男子であった。
されど所詮は子供。
彼の抗議の言葉に、耳を貸す者などいなかった。
もはや村の中でカメコが生贄となるのは決定事項だ。
そう察したカメオは、密かにある作戦を立てることにした。
双子の幼い子供というだけあって、カメコとカメオはよく似ていた。
そこでカメオは生贄の前の日にカメコを食事に薬を混ぜて眠らせたあとに、
カメコの格好をして、カメコとしてみんなの前に現れたのだ。
みんなは彼をカメコと思い、そのまま崖に突き落として生贄としてしまった。
本物のカメコが目を覚ました時には、もう全てが終わっていた。
カメオが密かにカメコに残した手紙には、
今回の計画のこと、しばらくはカメオとして過ごし、成長して、もし隠しきれなくなったら他の村へとなんとか逃げること、
どうか幸せに生きて欲しいことなどが書かれてあった。
カメコは手紙を握りしめて泣き、そして呪った。
勝手に決めた兄の愚かしさを。
何も知らなかった自身の愚かしさを。
そして、未だこんな神に盲信して縋っている村の人々を。
神なんていない。
私の兄を連れていってしまうような神なんていらない。
そう思ったカメコは、やがて一つの考えに行き着いた。
そして、この考えがこの村への、そしてこの神への最高の復讐になると確信した。
しかし、もし本当に神が伝承の通りの力を持っていたとしたら即座に破綻する計画だ。
いいさーー。
カメコは思った。これは私と神との戦いだ。
そうして、その日からカメコはカメオとして生活を始めた。
カメオが残した男物の服を着て、カメオの在りし日の姿を思い出して真似たら、
村の誰も、彼がカメオだと信じて疑わなかった。
そして、カメコは日々願った。
この村の平和を。
この村の平穏が、何事もなく続くことを。
おそらく、この村の誰よりもカメコは村の平和を祈っていただろう。
ただし、それはこの神にではない。
祈る対象も見つからぬまま、カメコはただ村の平穏を祈った。
そしてカメオが生贄になって7年。村は確かに平穏だった。
飢饉も災害もなにもない。実に穏やかな日々だった。
みんながカメオと思って、カメコにいう。
「カメコちゃんはよくやってくれた。神様はしっかりと役割を果たしてくださった。
ああ、ありがたや、ありがたや」
「妹が、村の平穏に役立てたのならば、妹も神様のもとで喜んでいることでしょう。」
「ええ、ええ、そうでしょうねえ。助かったあ」
カメコは穏やかにいう裏で、憎悪の炎に狂っていた。
我慢だ。あと少し、あと少し我慢だ。
「それでねえ」
村人が続けた。
「今年の生贄を、手伝ってもらいたいんだあ」
「ーーええ、もちろん。お手伝いします」
カメコは内心、ついにこの日が来たかと心の中でほくそ笑んだ。
そして生贄の日。
今回の生贄の少女を落とそうという中で。
カメコがその前に立ちはだかった。
「なんのつもりだあ、カメオ」
「もうやめましょう、こんなこと」
そういうと、村の長老がいう。
「何をいうか。村はこれまで、少女の生贄によってその平穏を保ったのだ。生贄の儀式をしくじるとな、村には大きな災いが降りかかる。
この7年間の平穏だって、君の妹のカメコちゃんががんばって生贄になってくれたからこそ、保たれていたんじゃ。君は妹の努力を無に帰すつもりか?」
「7年の、平穏ねえ・・・」
そこまで来て、カメコはもう笑いが止まらなかった。
けらけらと笑みがこぼれ出る。
その異様な光景に、長老を始め、村の人々は少々うろたえた。
そしてカメコはがばっと自身の服を脱ぎ、そして胸に巻いてあるさらしを外した。
村の人々は、驚愕の顔を浮かべたまま、その場で凍りついたように動かなくなった。
「カメコはあたしだ! あの時、兄のカメオがあたしの身代わりに生贄になったんだ! 男のカメオがな! 生贄の儀式を失敗した場合はどうなるんだって? 大災害どころか、村は平穏だったぞ、神様! あっははははは!!」
誰も、何も言わない。
ただカメコが、勝ち誇ったかのように叫んだ。
「神は死んだ! 兄が殺したんだ! ざまあみろ!!!」
少女はもう、村の平和は願わない。
聖女の祈りはもう、終わったのだーー。
この村には、ある因習があった。
それは『数え年で7年に1度、7歳以下の穢れなき少女を神の生贄に捧げよ』というものだった。
具体的には、7年に一度、7歳以下の少女を神が住むと信じられている崖の下に落とすのだ。
死体すら上がらない。村の大人たちは皆、神様のもとへ言ったというのみだった。
そしてその生贄を怠ったり、対象でないものを生贄に捧げた場合、
神の怒りに触れ、村はひどい大災害に見舞われるという。
さて、ある生贄の年。
今回は、カメコという丁度7つの少女が選ばれた。
彼女にとって不幸なのは、丁度その前の年に両親が病で死んでしまったことだろう。
後ろ楯がなくなってしまった、7つの少女。彼女を生贄とするのに、反対する者などいなかった。
いや、一人いた。
カメコの双子の兄である、カメオだ。
カメコと同じ7つではあるが、非常にしっかりとした男子であった。
されど所詮は子供。
彼の抗議の言葉に、耳を貸す者などいなかった。
もはや村の中でカメコが生贄となるのは決定事項だ。
そう察したカメオは、密かにある作戦を立てることにした。
双子の幼い子供というだけあって、カメコとカメオはよく似ていた。
そこでカメオは生贄の前の日にカメコを食事に薬を混ぜて眠らせたあとに、
カメコの格好をして、カメコとしてみんなの前に現れたのだ。
みんなは彼をカメコと思い、そのまま崖に突き落として生贄としてしまった。
本物のカメコが目を覚ました時には、もう全てが終わっていた。
カメオが密かにカメコに残した手紙には、
今回の計画のこと、しばらくはカメオとして過ごし、成長して、もし隠しきれなくなったら他の村へとなんとか逃げること、
どうか幸せに生きて欲しいことなどが書かれてあった。
カメコは手紙を握りしめて泣き、そして呪った。
勝手に決めた兄の愚かしさを。
何も知らなかった自身の愚かしさを。
そして、未だこんな神に盲信して縋っている村の人々を。
神なんていない。
私の兄を連れていってしまうような神なんていらない。
そう思ったカメコは、やがて一つの考えに行き着いた。
そして、この考えがこの村への、そしてこの神への最高の復讐になると確信した。
しかし、もし本当に神が伝承の通りの力を持っていたとしたら即座に破綻する計画だ。
いいさーー。
カメコは思った。これは私と神との戦いだ。
そうして、その日からカメコはカメオとして生活を始めた。
カメオが残した男物の服を着て、カメオの在りし日の姿を思い出して真似たら、
村の誰も、彼がカメオだと信じて疑わなかった。
そして、カメコは日々願った。
この村の平和を。
この村の平穏が、何事もなく続くことを。
おそらく、この村の誰よりもカメコは村の平和を祈っていただろう。
ただし、それはこの神にではない。
祈る対象も見つからぬまま、カメコはただ村の平穏を祈った。
そしてカメオが生贄になって7年。村は確かに平穏だった。
飢饉も災害もなにもない。実に穏やかな日々だった。
みんながカメオと思って、カメコにいう。
「カメコちゃんはよくやってくれた。神様はしっかりと役割を果たしてくださった。
ああ、ありがたや、ありがたや」
「妹が、村の平穏に役立てたのならば、妹も神様のもとで喜んでいることでしょう。」
「ええ、ええ、そうでしょうねえ。助かったあ」
カメコは穏やかにいう裏で、憎悪の炎に狂っていた。
我慢だ。あと少し、あと少し我慢だ。
「それでねえ」
村人が続けた。
「今年の生贄を、手伝ってもらいたいんだあ」
「ーーええ、もちろん。お手伝いします」
カメコは内心、ついにこの日が来たかと心の中でほくそ笑んだ。
そして生贄の日。
今回の生贄の少女を落とそうという中で。
カメコがその前に立ちはだかった。
「なんのつもりだあ、カメオ」
「もうやめましょう、こんなこと」
そういうと、村の長老がいう。
「何をいうか。村はこれまで、少女の生贄によってその平穏を保ったのだ。生贄の儀式をしくじるとな、村には大きな災いが降りかかる。
この7年間の平穏だって、君の妹のカメコちゃんががんばって生贄になってくれたからこそ、保たれていたんじゃ。君は妹の努力を無に帰すつもりか?」
「7年の、平穏ねえ・・・」
そこまで来て、カメコはもう笑いが止まらなかった。
けらけらと笑みがこぼれ出る。
その異様な光景に、長老を始め、村の人々は少々うろたえた。
そしてカメコはがばっと自身の服を脱ぎ、そして胸に巻いてあるさらしを外した。
村の人々は、驚愕の顔を浮かべたまま、その場で凍りついたように動かなくなった。
「カメコはあたしだ! あの時、兄のカメオがあたしの身代わりに生贄になったんだ! 男のカメオがな! 生贄の儀式を失敗した場合はどうなるんだって? 大災害どころか、村は平穏だったぞ、神様! あっははははは!!」
誰も、何も言わない。
ただカメコが、勝ち誇ったかのように叫んだ。
「神は死んだ! 兄が殺したんだ! ざまあみろ!!!」
少女はもう、村の平和は願わない。
聖女の祈りはもう、終わったのだーー。
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