「ひみつのイヤフォン」「23Good」
良質:18票物語:5票
ある日の昼下がり。
古びたテープレコーダーから流れ出すのは途切れ途切れの音。
その音を聴きながら、
《縁側に腰掛けてこのテープレコーダーを片手に日向ぼっこをする祖母が、いつもイヤフォンをしていたこと》を思い出した私は
“あの時”とは違う涙を流した。
では、“あの時”の涙の理由はいったい何だろうか?
古びたテープレコーダーから流れ出すのは途切れ途切れの音。
その音を聴きながら、
《縁側に腰掛けてこのテープレコーダーを片手に日向ぼっこをする祖母が、いつもイヤフォンをしていたこと》を思い出した私は
“あの時”とは違う涙を流した。
では、“あの時”の涙の理由はいったい何だろうか?
19年06月13日 01:24
【ウミガメのスープ】 [藤井]
【ウミガメのスープ】 [藤井]
解説を見る
【解答】
途切れ途切れの音は、幼き頃のピアノの発表会での私の演奏。たくさん間違えて聴くに堪えない失敗の演奏だった。
それを録音した母が祖母に聴かせようと再生した“あの時”、私は恥ずかしさや悔しさから祖母に聴かせるのが嫌で泣いた。
【解説】
私は幼き頃からピアノを習っていた。
小学1年生の頃、初めての発表会に挑んだ。課題曲には祖母の大好きな童謡『茶摘み』を選んだ。家で何度も何度も練習をし、ついに本番を迎える。
しかし当日私はひどく緊張していて、たくさん間違えてしまった。いつもはミスなく弾けるところも指が震えて何度もつっかえてしまい、聴くに堪えない演奏だった。どうにか最後まで弾き終えて礼をする。響き渡る拍手は全然嬉しくなんかなくて、私は泣きたい気持ちをこらえるのに必死だった。
客席で見守っていた母は私の演奏をテープに録音しており、帰宅後、あのひどい演奏を祖母に聴かせたのだ。
私は声を荒げて怒った。
「そんなの聴かせないでよ!!!!」
恥ずかしくて悔しくて涙が溢れた。あんなにたくさん練習したのに、あんなにたくさん間違えて……二度と聴きたくない演奏だ。祖母は私の背中を撫で、テープの再生を止めた。
それ以来、私の前でそのテープが再生されることはなかった。
歌が好きな祖母は日頃からよく童謡などを口ずさんでいて、たまに天気のいい日には縁側に腰掛けてテープレコーダーを片手に音楽を聴いているようだった。しかし、常にイヤフォンを装着していたので、祖母が何の曲を聴いているのかわからなかった。
私が近づいて隣に座ると、祖母はテープを止めてイヤフォンを外し、手遊びなどをたくさん教えてくれたものだ。
私は祖母が大好きだった。
季節は巡り、私は中学生になった。祖母は年々老衰により耳が遠くなり、声も出にくくなっているようだった。次第に部屋にこもりがちになり、縁側に置かれたテープレコーダーはついに再生されることがなくなってしまった。
私はふと、気になった。
祖母はイヤフォンで何の曲を聴いていたのだろうか?
興味本意でテープレコーダーを手に取り、イヤフォンを取り外して、再生ボタンを押す。
流れ出したのは、途切れ途切れのピアノの音。
聴くに堪えなかったあの日の私の演奏。
祖母はずっと、これを聴いていたのだ。
私が悔しさと恥ずかしさで泣き出したあの日から、私が傷つくことのないように、私に聴かれることのないように、わざわざイヤフォンをつけて。
「……おばあちゃんね、ウミコが発表会でその曲弾くって知ったとき、すっごく喜んだのよ」
いつの間にか後ろにいた母がそっと囁いた。
「おばあちゃんの好きな曲を選んでくれたことが嬉しくて仕方なかったみたいでね。ウミコにとっては失敗の演奏だったかもしれないけど、おばあちゃんにとってはとびっきりの宝物よ」
下手くそな演奏が終わり、拍手が響く。
それはとても温かくて、まるでその中に笑顔で手を叩く祖母の姿が見えるようで……
こらえきれず溢れる涙を、私は震える指で拭った。
途切れ途切れの音は、幼き頃のピアノの発表会での私の演奏。たくさん間違えて聴くに堪えない失敗の演奏だった。
それを録音した母が祖母に聴かせようと再生した“あの時”、私は恥ずかしさや悔しさから祖母に聴かせるのが嫌で泣いた。
【解説】
私は幼き頃からピアノを習っていた。
小学1年生の頃、初めての発表会に挑んだ。課題曲には祖母の大好きな童謡『茶摘み』を選んだ。家で何度も何度も練習をし、ついに本番を迎える。
しかし当日私はひどく緊張していて、たくさん間違えてしまった。いつもはミスなく弾けるところも指が震えて何度もつっかえてしまい、聴くに堪えない演奏だった。どうにか最後まで弾き終えて礼をする。響き渡る拍手は全然嬉しくなんかなくて、私は泣きたい気持ちをこらえるのに必死だった。
客席で見守っていた母は私の演奏をテープに録音しており、帰宅後、あのひどい演奏を祖母に聴かせたのだ。
私は声を荒げて怒った。
「そんなの聴かせないでよ!!!!」
恥ずかしくて悔しくて涙が溢れた。あんなにたくさん練習したのに、あんなにたくさん間違えて……二度と聴きたくない演奏だ。祖母は私の背中を撫で、テープの再生を止めた。
それ以来、私の前でそのテープが再生されることはなかった。
歌が好きな祖母は日頃からよく童謡などを口ずさんでいて、たまに天気のいい日には縁側に腰掛けてテープレコーダーを片手に音楽を聴いているようだった。しかし、常にイヤフォンを装着していたので、祖母が何の曲を聴いているのかわからなかった。
私が近づいて隣に座ると、祖母はテープを止めてイヤフォンを外し、手遊びなどをたくさん教えてくれたものだ。
私は祖母が大好きだった。
季節は巡り、私は中学生になった。祖母は年々老衰により耳が遠くなり、声も出にくくなっているようだった。次第に部屋にこもりがちになり、縁側に置かれたテープレコーダーはついに再生されることがなくなってしまった。
私はふと、気になった。
祖母はイヤフォンで何の曲を聴いていたのだろうか?
興味本意でテープレコーダーを手に取り、イヤフォンを取り外して、再生ボタンを押す。
流れ出したのは、途切れ途切れのピアノの音。
聴くに堪えなかったあの日の私の演奏。
祖母はずっと、これを聴いていたのだ。
私が悔しさと恥ずかしさで泣き出したあの日から、私が傷つくことのないように、私に聴かれることのないように、わざわざイヤフォンをつけて。
「……おばあちゃんね、ウミコが発表会でその曲弾くって知ったとき、すっごく喜んだのよ」
いつの間にか後ろにいた母がそっと囁いた。
「おばあちゃんの好きな曲を選んでくれたことが嬉しくて仕方なかったみたいでね。ウミコにとっては失敗の演奏だったかもしれないけど、おばあちゃんにとってはとびっきりの宝物よ」
下手くそな演奏が終わり、拍手が響く。
それはとても温かくて、まるでその中に笑顔で手を叩く祖母の姿が見えるようで……
こらえきれず溢れる涙を、私は震える指で拭った。
「塗られた毒」「23Good」
良質:18票物語:3票納得感:2票
寿司を食べていたカメオは毒で死んだ。
箸にも寿司にも毒はついていなかった。
そうすると、どこに毒がついていたのだろう?
箸にも寿司にも毒はついていなかった。
そうすると、どこに毒がついていたのだろう?
19年07月13日 21:20
【新・形式】 [Rest]
【新・形式】 [Rest]

簡単かな?5人正解出ましたら諦めます。(元は名無しでした)
解説を見る
出題者は寿司屋の大将。
<彼は人を殺した。おしぼりに{毒}を塗り込んで。>
彼は自信がなかった。自分の仕掛けた精いっぱいのトリックに。
あることを思いついた。
ここ、らてらてで出題し、5人の正解者が出たら諦めて自首しよう。
<簡単かな?5人正解者が出ましたら諦(あきら)めます。>
そう一言コメントに記し、問題を出題した。
その結果、5人に毒のトリックを見破られ、
やっぱりこのトリックはいつかはバレるのだと悟ったカメオは
{警察署へ走った。}
※流石にネット上で犯人が自分だとは言えないので、大将は犯人が出題者であることは隠します。
※出題しているのはRestではない感をだすために名無し出題しております。
※最初の大将が質問に答えるフェーズは大将目線で、そのあとの自首の理由フェーズはRest目線でお答えしています。
<彼は人を殺した。おしぼりに{毒}を塗り込んで。>
彼は自信がなかった。自分の仕掛けた精いっぱいのトリックに。
あることを思いついた。
ここ、らてらてで出題し、5人の正解者が出たら諦めて自首しよう。
<簡単かな?5人正解者が出ましたら諦(あきら)めます。>
そう一言コメントに記し、問題を出題した。
その結果、5人に毒のトリックを見破られ、
やっぱりこのトリックはいつかはバレるのだと悟ったカメオは
{警察署へ走った。}
※流石にネット上で犯人が自分だとは言えないので、大将は犯人が出題者であることは隠します。
※出題しているのはRestではない感をだすために名無し出題しております。
※最初の大将が質問に答えるフェーズは大将目線で、そのあとの自首の理由フェーズはRest目線でお答えしています。
「【BS】あたたかなスープ」「23Good」
良質:15票物語:8票
ある日、男は女の自宅に食事に招かれた。
テーブルに置かれたウミガメのスープを前にした男は、少し考えた後、「温めてくれないか」と遠慮がちに女に告げた。
「どうして?」と女が問うと、男は「いろんなことを話せるようになったから」と答えた。
女はなぜ、「どうして?」と問うたのだろう?
テーブルに置かれたウミガメのスープを前にした男は、少し考えた後、「温めてくれないか」と遠慮がちに女に告げた。
「どうして?」と女が問うと、男は「いろんなことを話せるようになったから」と答えた。
女はなぜ、「どうして?」と問うたのだろう?
19年11月01日 22:00
【ウミガメのスープ】 [藤井]
【ウミガメのスープ】 [藤井]

たくさんのらてらてメンにお祝いしていただけて超幸せでした。ありがとう。ラブ!
解説を見る
【解答】
男が猫舌であると思っていたから。
【解説】
初めてのデートは喫茶店だった。
二人は互いに緊張しており、会話はなかなか続かない。
「僕、猫舌なんだ」
そう男は告げた。そうなんですね、と女は微笑む。
テーブルに置かれたホットコーヒーを男はゆっくりと時間をかけて飲んだ。
二回目のデートはレストランだった。
前回よりは少しほぐれたものの、二人の間にはまだぎこちなさが残る。
男は注文したウミガメのスープを、これまた時間をかけてゆっくりと飲んだ。
そんな調子で幾度かデートを重ね、二人の距離はずいぶんと縮まったようだった。
ある日、女は男を自宅に招き手料理を振る舞うことにした。
男の好物であるウミガメのスープを作った女は、猫舌の彼に配慮し、軽く冷ましてあるスープを差し出した。
器に触れた男は一瞬動作を止めた。そして顔を上げると、やや遠慮がちに女にこう告げた。
「……このスープ、温めてくれないか?」
女は少し驚いた。
「どうして?あなた、猫舌でしょう?」
「本当のことを言うと、僕……猫舌なんかじゃないんだ」
申し訳なさと気恥ずかしさの入り交じる表情で男は言う。
「猫舌だって言ったのは、そう言い訳してゆっくり食べることで少しでも長く君と一緒にいたかったんだ」
うまく話せなくても、会話が続かなくても、ただ一緒にいたかったのだと。
男は伏し目がちに笑って、それからまっすぐに女の目を見た。
「でも、もう猫舌だなんて誤魔化して時間を稼がなくても、君とはいろんなことを話せるようになったから。せっかく作ってくれたこのスープも、熱々の一番おいしい状態で食べてみたい」
女は頬を染め、嬉しそうに頷いた。
●○●○●○●○
いつも遊んでくださる皆さん、ありがとうございます。藤井です。
ラテシンに登録したのが約9年前。以来、ウミガメを介してたくさんの方々と交流をさせていただきました。
私にとってのウミガメのスープは、大切なコミュニケーションツールのひとつです。
登場人物の心情が溶け込んでいる奥行きのあるスープが好きで、そういったスープ作りを目指しています。
記念すべき100問目のスープには『うまく話せないけど、それでも一緒にいたい』…そんな思いを溶かしました。
どうかこれからも気ままに遊んでいただけると嬉しいです!ラブ!
男が猫舌であると思っていたから。
【解説】
初めてのデートは喫茶店だった。
二人は互いに緊張しており、会話はなかなか続かない。
「僕、猫舌なんだ」
そう男は告げた。そうなんですね、と女は微笑む。
テーブルに置かれたホットコーヒーを男はゆっくりと時間をかけて飲んだ。
二回目のデートはレストランだった。
前回よりは少しほぐれたものの、二人の間にはまだぎこちなさが残る。
男は注文したウミガメのスープを、これまた時間をかけてゆっくりと飲んだ。
そんな調子で幾度かデートを重ね、二人の距離はずいぶんと縮まったようだった。
ある日、女は男を自宅に招き手料理を振る舞うことにした。
男の好物であるウミガメのスープを作った女は、猫舌の彼に配慮し、軽く冷ましてあるスープを差し出した。
器に触れた男は一瞬動作を止めた。そして顔を上げると、やや遠慮がちに女にこう告げた。
「……このスープ、温めてくれないか?」
女は少し驚いた。
「どうして?あなた、猫舌でしょう?」
「本当のことを言うと、僕……猫舌なんかじゃないんだ」
申し訳なさと気恥ずかしさの入り交じる表情で男は言う。
「猫舌だって言ったのは、そう言い訳してゆっくり食べることで少しでも長く君と一緒にいたかったんだ」
うまく話せなくても、会話が続かなくても、ただ一緒にいたかったのだと。
男は伏し目がちに笑って、それからまっすぐに女の目を見た。
「でも、もう猫舌だなんて誤魔化して時間を稼がなくても、君とはいろんなことを話せるようになったから。せっかく作ってくれたこのスープも、熱々の一番おいしい状態で食べてみたい」
女は頬を染め、嬉しそうに頷いた。
●○●○●○●○
いつも遊んでくださる皆さん、ありがとうございます。藤井です。
ラテシンに登録したのが約9年前。以来、ウミガメを介してたくさんの方々と交流をさせていただきました。
私にとってのウミガメのスープは、大切なコミュニケーションツールのひとつです。
登場人物の心情が溶け込んでいる奥行きのあるスープが好きで、そういったスープ作りを目指しています。
記念すべき100問目のスープには『うまく話せないけど、それでも一緒にいたい』…そんな思いを溶かしました。
どうかこれからも気ままに遊んでいただけると嬉しいです!ラブ!
「ルーズブルカメコ」「23Good」
良質:15票トリック:1票納得感:7票
カメコは家から出る際にわざわざ玄関で靴紐を緩めてから仕事場に向かって行った。
一体何故?
一体何故?
18年06月12日 20:28
【ウミガメのスープ】 [松神]
【ウミガメのスープ】 [松神]

うちの母はこんなことしません。……しませんからね?
解説を見る
息子のカメオがいつまで経っても起きない……今日は三限からと言っているが念のため、その後に学校をサボっていないかを確認するために靴紐を緩めておいた。
行っていれば靴紐は解けているか固く締まっているはず……?
あ、緩いままだ!カメオの奴め!
行っていれば靴紐は解けているか固く締まっているはず……?
あ、緩いままだ!カメオの奴め!
「やっぱ、これだね。」「23Good」
トリック:20票物語:1票納得感:2票
バラエティ番組が大好きな私が思い浮かべている食べ物を当ててください。
※シンプルな物当てです。
※シンプルな物当てです。
20年04月24日 18:42
【新・形式】 [休み鶴]
【新・形式】 [休み鶴]

スナイプ歓迎です!
解説を見る
やっぱりバラエティ番組の定番と言ったら「パイ投げ」ですよね!