みんなのGood

良質:6票トリック:2票物語:6票納得感:7票
我が家の裏の空き地は、
野良猫の溜まり場になっている。

あまり褒められた行為ではないが、
都会の生活で心が疲れた時、
私は、猫たちにエサをやって癒やされていた。

ある日。
外から仔猫の鳴き声がすることに気づいた私は、
いつものように、煮干しの入った袋を手に空き地に向かった。

…結論から言うと、仔猫はいなかった。
空き地には、いつも集まっている猫たちの姿すらない。

代わりに、小太りのおじさんがいた。
おじさんは口を開く。

「ンニャアオ…ニャアオ……🐾」

……なんてことだ。
仔猫の鳴き声だと思っていた声は、
小太りのおじさんの口から発せられていたのだった。


私は、
猫にあげるために持ってきた煮干しを、
小太りのおじさんに与えた。

一体なぜ?
24年01月21日 21:35
【ウミガメのスープ】 [るょ]



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四つん這いで草むらに鳴き続けるおじさん。
私は彼の肩に手を置くと、静かに首を振った。

「ここらの猫は現金でね。エサでも無いと触らせてくれないよ。」

煮干しの袋を渡す。

手のひらに煮干しを出して呼ぶと、
ものの数分で、隠れていた猫たちが集まってきた。

「地元の猫たちなら、鳴きマネに釣られて集まってくるんですがね…。」

猫ちゃんも都会っ子なんですね。
そう言って苦笑いするおじさん。
彼もまた、都会のストレスを猫で癒やそうとしていたのだった。

・・・
都会では、隣人のことなど気にかけていられない。

いつもの電車であなたの隣に座るそのおじさんも、
実は生活の中で、ストレスを感じていたりするのかもしれない。

…或いは、異様に猫の鳴きマネが上手だったりするかもしれない。


答え:
隠れている猫を呼んで触らせてあげるため
永久凍土の地「21Good」
良質:9票トリック:5票物語:3票納得感:4票
ラテラテ町の糖尿病患者が今年になって急激に数を減らし、もう殆どいないことを知った甘党のカメオ医師は来年にはラテラテ町から別の町へ引っ越すことに決めた。

以上の出来事からカメオの好きな飲み物を正確に特定した後、カメオの嫌いな食べ物まで考察せよ。
24年02月29日 22:44
【20の扉】 [松神]



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A.甘党の吸血鬼カメオの好きな飲み物は糖尿病罹患者の血液である。また、吸血鬼の嫌いな食べ物は当然にんにくだろう。
良質:6票トリック:3票物語:7票納得感:5票

{ラテライツ王国には、古くより伝わる魔女の伝説がある。}
なんでも王国近隣の森には{キヨウル}という魔女が住んでおり、美しい女性が森に迷い込むと妬んで呪いをかけてしまうそうだ。

実際に、森の奥地でキヨウルに会ったという者も存在する。しかし確たる証拠はなく、あくまで伝説は伝説であるというのが大半の国民の認識であった。

ところが近年、王国内ではキヨウルの呪いによる被害を訴える者が後を絶たない。多くは伝承の通り若い女性であり、原因不明の病にかかる・記憶の一部を失う・何かに取り憑かれたかのように錯乱する等、呪いによる被害の内容は多岐にわたった。

そのあまりの人数に、ラテライツ王家もどう対処すべきか頭を抱える日々が続いていた。

そんな中、{新しい国王にダダダダが即位}してからというもの、上記のキヨウルの呪いに関する騒動は瞬く間に鎮静化していった。

{ダダダダ王が魔女キヨウルを懲らしめたわけではないとすると、一体何故だろう?}
24年03月16日 22:45
【ウミガメのスープ】 [だだだだ3号機]

問題を作った私をみんなで褒めるのだ




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【A、イケメン王子ダダダダが王子じゃなくなってしまったから。】






────昔々、大変美しい姫君がいた。
だが、ある時森に迷い込んだ姫の美貌を妬んだ魔女に呪いをかけられ、姫はカエルに変えられてしまう。
だが王子のキスで呪いは解け、2人は結ばれた。
そうしていつしか彼らは森の傍らに国を建て、最初の王と王妃になった。


後の、ラテライツ王国である。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

さて、随分と長い時が経った今も上記の伝説は国民たちに広く知られており、魔女キヨウルの噂も未だ健在である。
{今でも近隣の森には魔女が住んでおり、美しく若い女に呪いをかけてしまう。呪いを解くには、王子のキスしかないのだと。}

しばしば、森でキヨウルに会ったと主張する者も存在するが確たる証拠もなく、あくまで伝説、噂話の域を出ないというのが多くの国民の認識…「だった」。


{近年になって、「キヨウルに呪いをかけられた」という女性}が数多く現れるようになった。

一体なぜか。
それは現国王の長子、{王子ダダダダ}が原因である。


{王子ダダダダは眉目秀麗なハンサムボーイ。国中の女性は皆、彼にメロメロである。}
まだ彼に伴侶はいない。ワンチャンあるなんてことを言う気はないが、あわよくば彼と懇ろになりたい女性は多い。

そんな女性達は、そのうちあることを思い付いた。
{「建国の伝承と魔女キヨウルの噂に便乗したら、王子にキスしてもらえるのでは?」}…と。
要は魔女の呪いにかかったような振る舞いをして、それを解くためという名目で王子にキスしてもらおうという魂胆だ。

最初の最初こそ1日に多くて2、3人であったため、憐れに思った王子も真剣に話を聞いていた。しかし、そのうち話が人伝いに拡がってしまった結果、キスを求めて城に来る女性の数は爆発的に増えた。ここらで流石の王子もおかしいなと思ったらしい。

そうして女性たちはよくキヨウルの伝承を語るようになり、その呪いの被害を騙るようになった。

{とはいえ、伝承通りカエルに変身したふりなど出来る筈もない。困った女性たちは、自分たちの演技でなんとかなる範囲で不調を騙り、キヨウルの呪いのせいということにすることにした。}



「森から帰って来てからお熱が出て…お医者様も原因がわからないというのです…これはきっと{魔女の呪い}ですわ!」

「お願いです…娘が記憶喪失になってしまい、母である私のことがわからないのです…!あの森に入ってからです…これはきっとかの{魔女の呪い}…」

「フハハハハーー!私は{魔女の呪い}でこの女に取り憑いた悪魔だーーーっ!私を祓うには王子のキスしかないぞーーーっ!」



こんなのが毎日城の前に山ほどやってくる。

近隣の森を立ち入れないようにしようかと考えたが、王国は資源の多くを近隣の森の自然から賄っており、誰も立ち入れないようにしてしまっては国営がままならなくなってしまう。

{すっかり困り果てていた、王子をはじめとする王家の人間たち。}

だがそんな中、持病の悪化を理由に現国王が退位。
{長子であるダダダダが父の王位を継承し、新しく国王の座につくこととなった。}

このニュースは瞬く間に国中を駆け巡り、ラテライツの女性たちは大いに悲しんだ。

{王になってしまったのである。}

ダダダダには、「キスしても王子ではないから呪いが解けない」という大義名分ができてしまった。
当然、呪いを口実にキスを要求してももう意味がない。
徐々に伝承に便乗する者は減り、城までキスを要求しに来ることはなくなっていった。

{こうして、魔女キヨウルの被害を訴える人は殆どいなくなったのだった。}



ダダダダ王の即位から十数年後。

今となっては魔女キヨウルは、以前までと同じ「伝承の中の存在」という認識に戻った。魔女の話は殆どの国民が知っているものの、実在を信じている人はごく少数である。
それでもやっぱり、森で迷った際に魔女キヨウルに会ったと主張する人がごくたまに現れる。

{ひょっとすると近隣の森では本当に、キヨウルがひっそりと暮らしているのかもしれない。}




ストーリーと解説 : 器用
(https://late-late.jp/users/profile/5757)
彼岸饅頭嘘八百「21Good」
良質:3票トリック:6票物語:1票納得感:11票
ある麗らかな春の日の午後。
自宅のリビングで饅頭を喉に詰まらせた千寿小次郎は死に際、(あの萩原と名乗る女性は嘘を吐いた)と思い至った。
千寿が思い至った嘘とは何か。
24年04月01日 21:22
【20の扉】 [春雨]



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「こちらつまらないものですが……」
閃きのバラッド「21Good」
良質:3票トリック:6票物語:4票納得感:8票
小説家の三葉慶勝(みつばよしかつ)は、明朝の午前10時に控えた原稿の締切に追われていた。

(あと少し…あと少しだ…)

今彼が書いているのは、新作におけるクライマックスの場面。他の部分は数日前に完成済みだったのだが、このラストシーンの一説のみ納得のいくアイデアが出ず、今日まで手付かずの状態であった。夕方、やっと得心のいく構想を思いつき、大急ぎで執筆に取りかかったのだった。

そんな最中、三葉は突如休憩をしたくなった。
現在の時刻は午前4時。夕方から今まで休まず作業しているのだから、無理もなかった。
幸いにも今の進捗なら、1時間程度の仮眠なら出来そうだ。仮眠を取って、体力を回復させてから仕上げにかかるのも悪くない。

だが少し思案した三葉は、最終的に仮眠を取らないことにした。体力の回復より、筆が乗っている今の状態を維持することを優先したのだった。

・-・-・-・-・-・-・-・-・-・

…さて、結末から言うと、三葉は締切に間に合わず原稿を落としてしまった。
その後力尽きてうっかり眠ってしまったわけでも、何らかの要因で急に筆が進まなくなったわけでもない。

一つ言えることは、{「あの時仮眠を取っていたなら、締切に間に合っていた可能性が高い」}ということだ。


<問>
執筆作業中、{三葉がずっと聞いていた音}はどんな音だろうか?
25年04月22日 20:12
【20の扉】 [器用]

4/25(金)いっぱいで締めます。※延長中!




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{A、雷が落ちる音}


三葉が仮眠を取らないことを決め、少し経ったある時………

{ゴロゴロ…}

<{ピシャーン!!}>

執筆作業をしている間、ずっと聞いていた雷の音がひときわ大きく響いた。

それと同時に、三葉の部屋の灯りがパタリと消え、今まで執筆作業をしていたデスクトップPCの電源が落ちた。

「あっ!!!」

三葉が思わず叫んだのも当然。夕方に構想が浮かんでから大急ぎで執筆作業をしていたのだ。途中で保存などしていない。

恐らく、ほぼ確実に、半日に及ぶ作業が水泡に帰した。

幸いにも電源はすぐに復旧した。一縷の望みをかけてPCを立ち上げたが、彼が目にしたのは白紙に戻った最終章の一説であった。

{もしも、もしもあの時仮眠を取っていたなら。}
作業を中断するついでに一時保存をしていた可能性は低くない。

三葉は時計を見た。時刻は午前5時を回っていた。いくら一度書き上げたものとはいえ、半日かけて清書したものを5時間足らずで仕上げるのは不可能だった。

呆然とスクリーンを見つめるばかりの三葉。

そんな彼を嘲るかのように、未だ遠くの空では雷雲がゴロゴロと嗤っていた。