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21の天使の蒸留酒「15ブックマーク」
昔、男は警察の目を盗んで深夜の駅のホームに侵入し、設置されたピアノを演奏する事を日課としていた。

ある日彼は酒場に行くと、一番安い蒸留酒を注文した。

そして一口飲んだところでマスターを呼びつけた。

「すまんが、これはなんて名前だ?」

「…これは、La grâce de Dieu(神様のお恵み)です。」

それをきいた男は、グラスを虚空に向かって突き上げた。

一体なぜ?
19年05月05日 13:36
【ウミガメのスープ】 [弥七]

ご参加ありがとうございました!




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<解説>
簡易解答:ホームレスの老人は駅のピアノを使って孤児に音楽を教えていた。時を経てピアニストとして大成した少女の曲に出会い、彼女の人生を祝福したのだった。

ーーーーーー
最初は単なる憂さ晴らしだった。

日がな1日迷子を預かったり、ろくでもない紛失届の裏でせっせと五目並べをしている奴らのために、神が仕事を与えてやろうというのだ。(自分の風貌を見れば、誰だって神様と勘違いするだろう)

こんな俺でも、昔は人間に音楽を教えて金をもらったこともあった。そんな俺様がどうして、こんなに落ちぶれたのだろう。

きっと酒が足りないせいだな。

深夜の21番ホームでは、都会の喧騒も、俺を嘲り罵しる世間も全ては無に伏せる。

老人は汚い鹿撃ち帽を外し、それを座布団代わりに椅子へ座った。

すると、今日はおかしなことが起こった。

鍵盤に手を置くと、文字も読めなそうな子供がひとり、ピアノの前に立つではないか。

鬱陶しくも片目で観察していると、なにやら演奏に合わせて指を必死に動かしている。俺の動きを真似しているのか?なんだってそんなことを??

ははあ、さては。

ピアノを買ってもらう親も金もない孤児が、興味本位で俺に付いてきたんだろう。

ふん、勝手にするといい。と俺は思った。

好き勝手に弾いていた男は、いつの間にか少女を椅子に座らせ、しまいにはブルグミュラーの25の練習曲を一通りやる羽目になっていた。

お前は若い、きっと人生をひっくり返せるさ。

そんな言葉が、ポツリと口をついて出た。

それから少女は半年後に姿を消す日まで、毎日のように駅に訪れた。

消えたのは孤児院から離れたのか、捕まって少年院送りか、きっとそのどちらかだろう。

別れから、二度目の春。

胸いっぱいに朝の新鮮な空気を吸いこんだ老人は、ついでにアルコールとタバコの汚い煙も吸いたいと思ったので、近くの酒場に飛び込み、有り金全部使って安い蒸留酒を買った。

ふと、ボトルを空ける手を止めると、まるで荒んだ心の傷を温かい何かで埋めるような、恍惚に似た感覚が彼の中へと侵入してきた。

それは酒の匂いのせいなどではなかった。

店内に響きわたるピアノと天使の歌声。

「…これは、La grâce de Dieu(神様のお恵み)です。いい曲でしょう?最近デビューしたんですよ、まだ若いのに、素敵だねぇ…」

マスターの声は最後まで男に届かなかった。

老人は、虚空に向かってグラスを突き上げた。


乾杯...!


これは、21番ホームの天使に捧げる蒸留酒。

(おしまい)
幸せは歩いてこない「15ブックマーク」

ショウくんのことが好きなマリちゃんは、
ショウくんと手を繋げるようになったので、
悲しみの涙を流した。

一体どういうこと?
19年11月11日 21:00
【ウミガメのスープ】 [「マクガフィン」]

お久しぶりです^ ^ つかの間の復帰?




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『簡易解説』
夫婦であり、幼い息子がいる2人。
家族で仲良く歩くときはいつも、間に息子を挟んで手を繋いでいたのだが、息子が亡くなってしまったために手を繋げるようになった。
それを実感した妻は、涙を流した。





リョウタが亡くなった。


それはあまりにも唐突で、葬儀の最中もまだ、どこかフィクションじみたものを感じていた。

「リョウタは私たちの自慢の息子でした。」
夫の言葉に、弔客たちは5年という短すぎる人生を嘆いた。
しかしなぜだか私の頬には、涙の筋は伝わなかった。


喪服の夫、喪服の私。駅からの帰り道、二人の間に言葉はなかった。
信じられなくて、信じたくなくて、私は下を向いたまま、いつもの公園を通り過ぎた。

ふと、右手に暖かいものが触れた。

それは夫の手だった。
暖かくて、大きくて、すべてを包み込んでくれそうな、そんな手のひら。
それが今、私の手を包んでいた。

あぁ、
と、私は思い出す。
初めてデートをした時の、彼の手の暖かさ。
私が落ち込んでいた時の、彼の手の温もり。
ウェディングドレスの私の手を握る、タキシード姿の彼。


そっか、手、こんなに優しかったんだ…
しばらく握ることがなくて、忘れていたよ。


だってここには、


{二人の間にはいつも、リョウタがいた。}




リョウタはもういない。
実感した途端、悲しみが、虚しさが、溢れ出して止まらなくて、私は立ち止まる。

夫の差し出したハンカチで、自分が泣いているのだとわかった。
夫との距離は縮まっても、私の胸には埋まることのない隙間ができてしまった。
そのどこまでも純粋な喪失感で、私は涙を流した。

もう三人で歩くことはないのだと、声を出さずに泣いた。




しーあわっせはー 
あーるいーてこーないー


唐突に耳に入ってきたのは、夫の声だった。
三人でよく歌ったあの歌を、途切れがちに、しぼりだすように、夫は歌っていた。


だーからあるいていくんだねっ!


リョウタの声だ。
そんなはずはないはずなのに、なぜだか私は確信していた。





そっか。そうだよね。リョウタはいつでもここにいるんだよね。

ふと自分の手を見ると、そこに暖かいものが触れた気がした。


一日一歩、三日で三歩。

自分に言い聞かせるようにつぶやく。

そうだよ、私だって、前を向かなきゃいけないんだ。

「ショウくん、」
思わず声に出していた。
夫がゆっくりとこちらを向く。

「がんばらなきゃね。」

何を、なんて言わずとも、夫ははっきりと頷いた。

今度は私から手を握り、歩き出す。



さーんぽすすんで にっほすっすむー!


またもやリョウタの笑い声が聞こえた気がして、そこは下がるでしょ、と小さくささやく。

どうしたの、と振り向く夫に、なんでもない、と首を振り、また一歩前へ進む。


リョウタ、ありがとう。そして、さようなら。

私も、ショウくんも、少しずつでも、一歩ずつでも、進んでいくから。
リョウタの届かなかった毎日を、一歩ずつ。




公園のブランコが、風もないのに揺れていた。

新ラテシン すいません(´・ω・`)「15ブックマーク」
深夜カメオの目がぱっちりしているのを見たカメコはカメオにトイレに行きたいとせがんだ。
カメオはカメコの事を怖がりだな~と笑ったが翌朝になるとカメコに感謝をしたのです。

一体なぜ?
19年12月01日 14:00
【ウミガメのスープ】 [天童 魔子]



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高速道路を運転中にふと助手席で寝ていたカメコが目を覚ますと
長時間運転しているカメオに次のサービスエリアで休憩をとりましょうと提案した。

しかしカメオは眠気覚ましドリンクを飲んだから目がパッチリだよ強がったが
それって今けっこう眠たいってことなんじゃないかとカメコは恐怖しトイレに行きたいからとカメオを無理にでもサービスエリアに誘導したのです。


カメオは大丈夫だよ事故んないからとカメコを心配性だなと笑っていたのですが
サービスエリアに付くとグッスリ熟睡して朝を迎えたため、あのまま運転していたら事故を起こしていたかもしれないとカメコに感謝したのです
不正乗車「15ブックマーク」
カメオは毎日バス通学をしている。
目的のバス停に着くと、カメオは現金やカードで運賃を払ったり、定期券や回数券を用いたりすることなく降りていった。
なのに、運転手は何一つ文句を言わなかったという。


一体どういうことだろう?
19年12月22日 16:13
【ウミガメのスープ】 [あおがめ]

たくさんのイイネありがとうございます!!




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カメオは、毎日{親}(運転手){に送り迎え}してもらっている。{乗車するバス停}(目的のバス停)に着くと、カメオはいつものように「行ってきます」の合図で車を降りるのであった。
背伸びしたっていいよ。「15ブックマーク」
伸び盛りの弟を持つ私は、家の柱に傷をつけては彼の身長を記録していた。

弟「ちぇっ、まだ全然だぁ。」

1ヶ月で5cmも伸びれば大したものだと思ったが、
弟はなんだか不満そうである。

私「じゃあこれ、おまけね。」

そう言って、私が弟の身長より少し高い場所に印をつけると、

弟は途端に怒り出した。

それは私の優しさだよって言っても聞いてくれない…一体なぜだろう??
20年04月01日 21:28
【ウミガメのスープ】 [弥七]

Special Thanks!!! さなめ。さん^ ^




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<解説>
簡易解答:ただ姉の身長を追い越す瞬間が見たいなら、お互い背中を合わせればそれでいい。弟は柱に私の身長を刻んだことを、「もうこの家に帰ってくることはない」という意思表示だと捉えたから。


春から県外の大学へ進学する私。家族との別れに寂しさを覚えつつ、弟が私の身長を追い越す瞬間が見られるように、【私の身長】を柱に刻んだ。すると弟は「寂しいっていう割に、帰ってくる気ないじゃん!」と怒り始めたのだった。

ーーーーーーーーーー

もし、もしも。

私が今抱いている感情が、私一人だけのものだとしたら。

それはとても、悲しいことだと思う。








「まあ、そうですよね。七海先輩くらいの成績だったら、進学しますよねー。」
「七海ちゃん、よく勉強してたもんね。」
「県外の大学だって??いいなー頭の良い子は。」





ああ、そういうもんなのかなって。


「ーーー私、東京の大学に行くんだ。」


私の一世一代の決心は、そうして、すんなりと周囲の人に受け入れられていった。




それは、家族に対しても同じことだ。

三者面談の日。

読み上げられた進路希望に、母は何も言わずただ頷いてくれた。家に帰って父にそのことを話すと、「お金のことは心配するな」と、たった一言交わしただけで終わった。




先生に何度教えられたことか。

「進路はよく考えること」「よく悩んで選ぶこと」




誰に勧められたわけでもない。自分の好きなものを選んで、絞って。その末に、私の将来はこれしかないと決めた。

私の中で、とても大切な決断だったのに。

しかしその結末は、あまりにあっさりしすぎていた。




どうして?

どうしてそんなにすっきりはっきり、感情を入れ替えれるのだろう??

私には理解できない。

だって、私が東京の大学に行くということは、つまりーーー











「……姉ちゃん!!聞いてんの!?」


はっと我に帰る。


私は家の柱の前でぼうっと立ち尽くしていた。隣では弟が壁に張り付いたまま私に向かって話しかけている。

「姉ちゃん、まだ??」
「ああ、ごめんね、すぐやるから。」

私は弟の身長に合わせて柱に傷をつけた。過去の自分とを交互に見比べながら、弟は不満そうに鼻を鳴らした。

「ちぇっ、まだ全然だぁ。」

1ヶ月で5cmも伸びれば大したものだと思ったが。それでも物足りないのだろうか??

台所にいた母がひょっこりと顔を出す。

「はあ〜男の子の成長期ってすごいね〜。制服、もっと大きいサイズにしておけばよかったね〜。」
「やだよ!だぼだぼしてダサいじゃん!!」
「新しく買うよりいいでしょうが。」

ああケンカしてる。いつもの家族風景だ。

私がいなくとも、きっと何も変わらないだろう。

「…今に七海の身長、追い越しちゃうかもしれないねえ。」



私は柱の方を振り返った。

不揃いに重ねられた、弟の成長の記録。なんとも誇らしく、そして悲しいのだろう。

私の身長を弟が越す瞬間を、私は見ることができないのだから。

強烈な寂しさに背中を押されて、私は再びナイフの柄を強く握った。

カリカリ…



「姉ちゃん、なにしてるの??」

「これ、おまけね。これでいつでも、比べられるでしょ。」



私は自分の身長を測って、柱に傷をつけた。



「やめろよ。」



急に肩を掴まれたので、私の傷は大きく曲がってしまった。誰の声だろうと思うくらい、真剣な口調で弟は言った。

「姉ちゃんって、ほんとずるいわ。試すようなことばっかりして。」

「え?」

「急に東京の大学に行くって言うから、みんなすげー心配して。

でも姉ちゃんが決めたことだから、そんな悲しい顔しないようにしゃんとしてたのに…。母ちゃんだって言ってたよ。ほんとに一人で生活できるのかって、寂しくなるって言ってたし。

でも姉ちゃんからは『寂しい』なんて一言も聞かなかった!!」

「……」

「俺、ずっと一緒だからまだわかんないけど、姉ちゃんがいなくなったらきっと寂しいと思う。けど、けどさ!!寂しいなら、帰って来ればいいじゃんか、戻って来ればいいじゃんか!」

「……ごめん。」

私は下を向いて、ただ謝った。涙が出るかと思ったからだ。

「謝ってばっかりだ、姉ちゃんなんて、もう知らねえよ。」



こんな調子で東京でやっていけるのかねえ、と母親のようなことを言った。そして、柱の方にぐいと私を押し付けた。もうすぐ私を追い越してしまう彼の身長が、ことさら大きく見えた。

「もういい、姉ちゃんは、東京で大人しく勉強でもしてろ。







……俺が迎えに行ってやるから待っとけ。」



いつの間に

人間というものは、人知れず成長してゆくものなのだろう。

随分と男らしくなったなぁ、なんて思いながら

こくりと、私は頷いた。








柱の傷は、おとどしの。








窓辺からそよそよとやってくる柔らかな風を感じながら、私はベッドの上でうんと背伸びをして周囲を見渡した。

私だけのテレビに、私だけの本棚。ソファの上のパーカーは、誰に片付けられることもなく無造作に、おとなしくそこにかけられている。

目覚まし時計が鳴る前なんて…全く行儀の良い時間に起きてしまったものだ。


(……どうして目が覚めてしまったのだろう?)


耳をすますと、繰り返し鳴っているインターフォンの音を、寝ぼけた私の頭がやっと認知した。


(ああ、なるほどね。)


私はスキップしながらリビングを後にした。

そう、きっとこれは、私の待ち望んでいた春の訪れ。

しかし決して悟られないようにどうぞ、と少しぶっきらぼうに玄関の扉を開ける。

「久しぶり、姉ちゃん。









やっと迎えに来たよ^ ^」

不意に口元が緩んだのを、私はちゃんと隠せただろうか??

いてっ、

などと言いながら戸枠に頭をぶつける彼が、小憎らしいほど愛らしかった。

(おしまい)(この物語は全てフィクションです。)